インターフェース・準拠規格

産業用画像処理に最適なCoaXPress 2.0

同軸ケーブルを使用する高速インターフェース規格として、産業用画像処理向けに改良が進められてきたCoaXPress(CXP)。以下では、その最新版として、1チャンネル当たり最大12.5Gbpsの広帯域幅を誇り、ケーブル1本で大容量データを安定して転送できるCoaXPress 2.0について解説します。

  • 最終更新日: 2024/03/14

  • 読了時間:約 14 分

CoaXPress 2.0について知っておくべきこと

  • 1チャンネル当たり最大12.5Gbpsの広帯域幅を誇り、PoC(Power Over Coax)対応の同軸ケーブル1本大容量データを転送可能

  • マシンビジョンインターフェースとしてメガバイト単価が低い

  • インターフェースカードフレームグラバーを追加することで、CPU負荷を抑えながら、効率的なデータ処理が可能

  • 複数のカメラを簡単に同期できるだけでなく、GenICam規格にも準拠いるため、カメラ、インターフェース、ソフトウェアをシームレスに統合可能

  • 広帯域幅に加え、長距離データ転送に対応しており、半導体検査、3D外観検査(AOI)、印刷検査、食品検査、交通監視、医療などに最適

CoaXPress 2.0とほかのインターフェースの違い

同軸ケーブル1本でデータ転送と電源供給を同時に行うCoaXPress 2.0は、複数のケーブルが必要であったCoaXPressよりケーブル数が削減されているほか、1チャンネル当たりの帯域幅についても、最大12.5Gbpsまで向上しています。

CoaXPress 2.0を介してホストPCにデータを転送するには、適切な画像入力ボードが必要
CoaXPress 2.0を介してホストPCにデータを転送するには、適切な画像入力ボードが必要

一方、GigEUSB 3.0と異なり、CoaXPress 2.0は一般的なPCに搭載されていません。CoaXPress 2.0を介してカメラからホストPCへ画像データを転送するには、インターフェースカードまたはフレームグラバーを別途準備する必要があります。

ただし、CPU負荷を軽減することで、画像解析をはじめとするほかの作業にリソースを割り当てられるため、画像入力ボードの追加は必ずしもデメリットではありません。

CoaXPress 2.0のメリット

高速インターフェース規格であるCoaXPress 2.0は、高フレームレートを維持したまま、最先端の高画素イメージセンサーを使用できるため、ビジョンシステムの性能を最大限に引き出すことができます。

  • ケーブル長:帯域幅を調整することで、最大40~100mの長距離データ転送が可能(USB 3.0は最大10m)

  • コスト:ケーブル1本で電源供給とデータ転送が可能であるため、メガバイト単価が低い

  • 同期性:複数のカメラを簡単に運用できるため、製造ラインなどの動体撮影に最適

  • 速度:最大12.5Gbpsの広帯域幅を実現しながら、CPU負荷を軽減することで、ホストPCを高速化

  • レイテンシー:レイテンシーを数μsに抑えられるため、安定性・リアルタイム性・低ジッターが求められる用途に最適

  • 互換性GenICamに準拠しており、カメラ、インターフェース、ソフトウェアの統合が簡単

  • セットアップ性:コンパクトなマイクロBNC(HD-BNC)コネクターを採用し、少ないケーブルでシンプルなシステム構成を実現

代表的なCoaXPress 2.0ビジョンシステムの構造

代表的なCoaXPress 2.0ビジョンシステムの構造
カメラ、同軸ケーブル、画像入力ボードから構成されるCoaXPress 2.0ビジョンシステム

右にある図は、代表的なCoaXPress 2.0ビジョンシステムの構造を示したものです。 CoaXPress 2.0カメラ は、熱放散が必要な大型センサーを搭載していることが多く、コンパクトなUSB 3.0カメラやGigEカメラよりサイズが大きくなります。

ただし、システム全体を見ると、データケーブルの数が少なく、従来より構造がシンプルです。しかも、同軸ケーブルを介し、ケーブル1本で電源供給とトリガーを行えば、I/Oケーブルも必要ありません。このほか、カメラと画像入力ボードの接続に標準コネクターを使用しているため、耐久性も向上しています。

CoaXPress 2.0の用途

CoaXPressの代表的な用途:外観検査
CoaXPressの代表的な用途:外観検査

CoaXPress 2.0は広帯域幅であるだけでなく、カメラとホストPCが離れていてもデータを転送できるため、複数の高画素カメラを同期しながら、高速撮影を行う場合に特に適しています。主な用途には、異なる角度から動体撮影を行う半導体検査、大容量の高解像度画像をリアルタイムに処理する3D AOIのほか、印刷検査、製造の自動化、スポーツ・動作分析食品検査高度道路交通システム(ITS)医療などがあります。

CoaXPress 2.0への移行

CoaXPressとCoaXPress 2.0の間には互換性があるため、一部の機器を交換するだけでも、CoaXPressからCoaXPress 2.0への移行は可能です。ただし、長期的な観点から見ると、最大限の機能を発揮するためにも、システム全体を刷新するほうがメリットは大きいといえます。  

一方、ほかのインターフェースからCoaXPress 2.0へ移行する場合は、以下の点を確認するとよいでしょう。  

  • 既存のカメラ/コンピューターが交換後のケーブルや高速・高解像度撮影に対応しているか

  • PoC(Power Over Coax)による電源供給が可能か

  • ソフトウェア/ドライバーの更新が必要か  

CoaXPressやほかのインターフェースからCoaXPress 2.0への移行:ケーブルの品質・種類によってケーブル長が変化
CoaXPressやほかのインターフェースからCoaXPress 2.0への移行:ケーブルの品質・種類によってケーブル長が変化

インターフェースカードとフレームグラバーの違い

USBやGigEと異なり、CoaXPress 2.0は産業用画像処理に特化したインターフェースです。一般的なPCには、CoaXPress 2.0カメラの接続に必要なハードウェアが搭載されていないため、画像入力ボードを追加しなければなりません。

ビジョンシステムの制御に最適なフレームグラバー

フレームグラバー

デジタルインターフェース(GigE、USB 3.0、Camera Link、CoaXPress 2.0)を介して画像データを取り込む機器をフレームグラバーと呼び、ビニング、スケーリングといった画像データの前処理が可能な製品もあります。ホストPCのプロセッサーを介することなく、データをRAMに直接書き込むDirect Memory Access(DMA)を採用しているため、専用の画像処理ソフトウェア(HALCONなど)や汎用インターフェース規格(GenICamなど)を介してデータにアクセスできますが、導入するには比較的多くの労力とコストがかかります。

CXP-12インターフェースカード

インターフェースカード

フレームグラバーよりシンプルな構造をしているインターフェースカードは、カメラから受け取った画像データを前処理なしで直接RAMに書き込みます。また、ここでもDMAが採用されているため、CPUに余計な負荷がかかりません。フレームグラバーのような前処理はできませんが、導入にかかるコストや労力が少ないのがインターフェースカードの大きな特長です。

インターフェースカードとフレームグラバーの比較

機能

インターフェースカード

フレームグラバー

画像データの前処理(スケーリングなど)

×

DMAによるCPU負荷の軽減

汎用ドライバー/汎用インターフェース規格(GenICamなど)への対応

画像処理ソフトウェア(HALCON)の使用

導入労力

導入コスト

まとめ:CoaXPress 2.0の特長 

産業用画像処理において、大量データの高速・長距離転送を可能にするCoaXPress 2.0は、Camera Linkに取って代わるインターフェースとして、コンピュータービジョン業界の注目を集めています。画像入力ボードを別途準備する必要はありますが、ホストPCの代わりに画像を前処理することで、すべてのCPUリソースを画像解析などに回せることを考慮すると、多くの用途でデメリットよりメリットのほうが大きいといえるでしょう。

このほか、最近ではCoaXPress 2.0からさらに進化を遂げたCoaXPress-over-Fiberも登場しています。詳しくはVision Campusの記事をご覧ください。

CoaXPress 2.0対応製品

CoaXPress 2.0ビジョンシステムを構築するなら、ビジョンシステムコンフィギュレーターが便利です。

よくあるご質問(FAQ)

CoaXPress 2.0は、1チャンネル当たり12.5Gbpsの広帯域幅を誇る、産業用画像処理向けの高速インターフェース規格です。大容量データの転送に加え、同軸ケーブル1本でマシンビジョンカメラに電源を供給できるため、3D AOI、印刷検査、スポーツ・動作分析、医療など要件の厳しい用途に最適です。

CoaXPress 2.0は、レイテンシーを抑えた高速データ転送(1チャンネル当たり12.5Gbps)、長距離ケーブルの使用(最大100m)、複数のカメラの安定した同期が可能であるほか、ケーブル1本で電気供給とデータ転送を同時に行うことができます。

対応するマシンビジョンカメラに加え、データ転送の効率化とホストPCにかかる負荷の軽減を目的として、インターフェースカードまたはフレームグラバーを準備する必要があります。なお、前処理機能(画質の向上、データ容量の削減など)を搭載したフレームグラバーであれば、CPU/GPUとのコスト相殺により、早期の投資回収が期待できます。

はい、CoaXPress 2.0には後方互換性があるため、従来のCoaXPressと組み合わせることが可能ですが、最大限の機能を発揮するためにも、システム全体の刷新をおすすめします。

CoaXPress 2.0は、カメラとホストPCが離れている場合をはじめ、高速・長距離データ転送が求められる用途に適しています。主な用途には、半導体検査、食品検査、印刷検査、交通監視、医療などがあります。

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