半導体製造の工程内検査におけるマシンビジョンの活用
半導体の製造工程が複雑化するなか、早期の欠陥検出が求められるようになっています。以下では、マシンビジョンを活用し、工程内で製造装置やプロセス、基板の画像を取得することで、半導体の外観検査(AOI)や計測の精度を向上させる方法について解説します。
マシンビジョンによる工程内検査の重要性
半導体に使用されるウエハーやガラス基板は、何百ものプロセスを経て製造されます。近年では、アドバンストパッケージング(先進パッケージング)や新たなプロセス(ウエハー薄化、微細RDL(再配線層)、ボンディング、デボンディングなど)の導入に伴い、基板を繰り返し搬送する必要があることから、製造工程がさらに複雑化しています。
しかも、製造工程が進むほど欠陥の影響が大きくなるため、欠陥検出が遅れると、基板の廃棄やコストの増大につながります。このほか、欠陥のある基板が製造装置に投入されて破損すると、装置の洗浄・修理・再点検に伴うダウンタイムが発生するおそれもあります。
特に微細欠陥の検出や高精度な計測が求められる場合は、従来のような独立型の外観検査装置が欠かせません。しかし、実際には発生源に近い場所で検査を行うほうが効果的な場合もあります。
では、具体的にどうすればよいのでしょうか。
工程内や工程の前後マシンビジョンを導入すれば、実際のプロセスや装置の動作状況、基板の状態を逐一確認することができます。
マシンビジョンによる工程内検査の用途
In-Situ(In-Situ:ラテン語で“その場で”の意味)とも呼ばれる工程内検査は、半導体製造のさまざまな計測や監視に採用されています。
そのうち、マシンビジョンによる工程内検査は、製造装置とプロセスの監視、ウエハーと基板の追加検査の2つの用途に最適です。

製造装置とプロセスの監視
作業内容
マシンビジョンを活用し、実際のプロセスや装置の動作状況を監視します。
監視項目
薬剤の塗布状況
プロセスの状態(のぞき窓からの撮像)
ロボット作業
ウエハーや基板の搬送状況
製造装置やプロセスの状態を可視化することで、監視や不具合への対応を行うことができます。

ウエハーと基板の追加検査
作業内容
マシンビジョンを活用し、CVD/PVD工程の前後に装置内でウエハー検査を実施します。
検査項目
成膜不良
異物
キズ
エッジ欠け
なお、装置内ではあるものの、工程の前後に検査を行うため、厳密な意味での工程内検査ではありません。
マシンビジョンによる工程内検査を導入するメリット
マシンビジョンによる工程内検査を導入するメリットは、微細欠陥の検出だけではありません。適切な場所とタイミングで、重要な画像情報を取得することも可能です.
以下では、マシンビジョンを活用し、半導体製造の各工程で製造装置やプロセス、基板を監視する方法について、2つの事例に分けてご紹介します。
事例1:CMP工程におけるスラリーの供給状況の監視

要件
CMP(化学機械研磨)工程では、スラリーを滴下しながら研磨を行うため、スラリーの状態によっては剥離や変形が発生するだけでなく、仕上がりにも影響します。
本事例では、研磨後のウエハーの状態を確認する代わりに、研磨中のスラリーの状態を監視することが求められました。
課題
CMP工程では、ウエハーを回転させながら、スラリーを研磨面に滴下するため、単独撮像では必要な部位を捉えられない一方、連続撮像では不要な画像データが発生します。
このような課題を解決するには、ビジョンシステムと製造装置を同期したうえで、撮像タイミングを調整しながら、スラリーの画像を高画質で取得しなければなりません。
ソリューション
でトリガーと撮像を制御しながら、2台のBasler ace 2 GigEモデル(2.3MP)で上下からスラリーの画像を取得します。
このようにして必要な画像のみを解析することで、連続撮像を行わなくても、スラリーの分散不良(飛散など)を検出できます。
続きを読む:最適なビジョンシステムの構築方法とは?
撮像課題やシステム構成、ソリューションに加え、工程内のウエハー追加検査に関する別の事例もご紹介します。