画像処理用照明
ビジョンシステムに最適な照明の選定方法
ビジョンシステムの設計において軽視されがちな照明は、実は画質や撮像効率に影響する重要な機器です。適切な照明を選定しなければ、白飛びや黒つぶれが発生するおそれがあります。以下では、ビジョンシステムに最適な照明の選定方法について、画像処理に影響するさまざまな要素を考慮しながら詳しく解説します。
最終更新日: 2023/05/09
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産業用画像処理における照明法
対象物の表面形状・質感にかかわらず、必要な特徴を正確に抽出するには、検査の種類に応じて照明法を変える必要があります。

明視野照明
カメラと照明を対象物の正面に配置し、光を直接照射する方法です。光沢の少ないマットな物体の撮像に適しています。なお、光沢のある物体を撮像する場合は、拡散板を追加するか、拡散光照明を使用する必要があります。

透過照明
カメラと照明の間に対象物を配置し、照射光の一部または全部を遮る照明法です。対象物の輪郭やシルエットが強調されるため、寸法や欠損、体積などを正確に測定できます。

暗視野照明
ローアングルから対象物に光を照射することで、特定の角度からの反射光のみを撮像する照明法です。画像全体が暗くなる一方で、エッジやキズ、印字が明るく強調されるため、表面欠陥のコントラストと視認性が大幅に向上します。
産業用画像処理における照明の種類
亀裂の検知、色の識別をはじめ、品質検査の精度を大きく左右する照明。産業用画像処理においては、ハロゲンランプや蛍光灯の代わりに、より安価で発光効率も高いLED照明が広く使用されています。しかし、その種類は多岐にわたるため、用途に応じて最適な照明を選定する必要があります。

バー照明
物体表面に光を均一に照射する棒状の照明です。細長い物の検査やエッジ部の強調をはじめ、多種多様な用途に最適です。特定部位の強調や、複数のバー照明による多方向からの光の照射に加え、対象物に合わせて設置角度を調節し、暗視野照明として使用することも可能です。

リング照明
LEDを円形に配置することで、影の少ない均一な光を照射する照明です。柔軟性に優れているリング照明は、対象物の形状にかかわらず、照明ムラを最小限に抑えられるため、組立工程の監視、品質管理、外観検査をはじめ、一般的な産業用画像処理に広く使用されています。ただし、表面構造の可視化やキズ、その他欠陥の検出が必要な場合は、暗視野照明などほかの照明法が効果的です。

バックライト
対象物の後方から光を照射することで、輪郭やシルエットを浮かび上がらせる照明です。バックライトの主な用途には、穴・気泡・亀裂の検出やラベル・印刷物の検査があります。エッジが強調されるため、物体表面の構造物の撮像には適していません。

ローアングルリング照明
通常のリング照明と異なり、対象物の横から光を照射するリング照明です。エッジを強調することで、コントラストが向上し、キズを浮かび上がらせることができます。特に透明な物体(窓、フィルムなど)を撮像する場合、横方向から光を照射する暗視野照明により、影や反射を抑えることが非常に重要です。
照明の照度
撮像の信頼性を確保するうえで、照明の照度の調整は欠かせません。照度が足りないと、画像が暗くなってノイズが発生しやすくなります。一方、照度が高すぎると、過露光によって画像情報が失われるおそれがあります。照度を最適に調整し、均一な光によって対象物のコントラストを向上させれば、ビジョンシステムによる安定かつ一貫した検査・測定を実現できます。

照度不足
照度が足りないと、画像が暗くなってノイズが発生しやすくなるため、対象物の輪郭や構造がぼやけてしまいます。その結果、微細欠陥の検出が困難になり、画像解析の信頼性低下や誤判定の増大を招きます。

照度過多
照度が高すぎると、過露光によって重要な画像情報が失われるおそれがあります。また、白飛びや反射による画質低下は、過検出の増加にもつながります。
品質管理における照明の活用
産業用画像処理では、光の特性を上手く利用することも非常に重要です。光の屈折・吸収・透過・反射が起こるかどうかは、照明の波長(照明色)や対象物の材質によって異なるため、画質を向上させるには、最適な照明色を選定する必要があります。

照明色によるコントラスト調整
照明色によってコントラストを調整すれば、対象物の見え方が変わります。補色は暗く、同系色は明るく映るため、カラーカメラで自然な色合いを再現したい場合は白色照明、モノクロカメラで対象物の特徴を強調・抑制したい場合は青色照明や赤色照明を選択するとよいでしょう。
非可視光:赤外光
一般的な可視光(波長範囲:400~700nm)には、さまざまな色の波長成分が含まれているため、色の識別に効果的です。一方、果物の凹みなど目に見えない特徴を抽出したい場合は、IR(赤外)光、SWIR(短波長赤外)光などの非可視光を使用します。Baslerでは、SWIRカメラやSWIR照明を豊富にラインナップしています。 SWIR照明の製品一覧

非可視光:紫外光
400nm以下の波長のUV(紫外)光は、蛍光物質や反射性の違いを捉えることができます。UVカメラとUV照明の組み合わせは、認証マーク・接着残渣・微細な亀裂の検出をはじめ、隠れた構造物の可視化に最適です。 UV照明の製品一覧
用途に応じた照射光の調整
最適な照明光の確保は、検査の信頼性向上と一貫した品質管理に欠かせません。用途に応じて照射光を調整し、反射を抑えながら、コントラストを向上させれば、対象物の表面構造を可視化できます。

拡散光照明
光を均一に照射することで、影や反射を最小限に抑える照明法です。光沢や凹凸、曲面のある物体をはじめ、直射光では難しい対象物の撮像に最適です。主な用途には、金属・プラスチック部品やプリント基板(PCB)の検査などがあり、ドーム照明/特殊なパネル照明と拡散板を組み合わせて使用します。

偏光照明
照明とカメラに取り付けた偏光板により、不要な反射光をカットする照明法です。非金属面(ガラス、プラスチック、塗装面など)の反射を抑え、画像解析に必要なコントラストを向上させることで、キズや亀裂などの表面欠陥を正確に検出できます。なお、金属面の場合は、偏光照明の効果が低下します。
ビジョンシステムにおける照明の重要性
照明は、ビジョンシステムの画質にかかわる重要な機器です。照明の性能によって画質が決まるため、ビジョンシステムを構築する際には、ほかの構成機器よりも時間をかけて照明を選定する必要があります。

照明の選定要件
照明を選定する際は、抽出が必要な特徴を把握したうえで、対象物の材質・光反射性・光吸収性、環境光、撮像距離などさまざまな要件を確認する必要があります。
上記の要件が明確であれば、最適な照明が簡単に見つかります。また、Baslerでは、必要な項目を順番に入力していくだけで、おすすめの製品が表示される照明アドバイザーも公開しています。
照明製品
ビジョンシステムに最適な照明製品を幅広く取り揃えています。
よくあるご質問(FAQ)
白色光は、自然な色再現が求められる用途に使用されます。一方、その他の照明色(青色光、赤色光、赤外光など)は、高コントラストなモノクロ撮像で対象物の特徴を抽出したい場合におすすめです。
赤外光は、人間の目に見えないものを可視化できるため、可視光が妨げになる場所での撮像に特に適しています。
照明色によっては、対象物が明るく見えたり、暗く見えたりします。例えば、青色光を照射すると、青色や白色の部分が明るく映る一方、赤色や緑色の部分は暗く映ります。
多方向から光を照射する照明(リング照明など)を使用し、影を抑えれば、キズや不要な特徴(印字、色など)を目立たなくすることができます。
光沢のある物体を撮像する際は、対象物に均一に光を当てるため、拡散光照明や拡散板を使用し、不要な反射光を抑えるとよいでしょう。

