活用事例

車載用積層セラミックコンデンサーの積層工程における高速位置合わせ

安定したピント調整により、高精度な積層を実現

車載用積層セラミックコンデンサー(MLCC)の積層数が数百層から1000層近くに増加するなか、熱膨張や機械的ストレスに対する耐久性を向上させるには、寸法公差と電極位置を厳格に管理しなければなりません。検査画像にボケが生じると、位置ずれ(ΔX、ΔY)や角度ずれ(Δθ)を正確に検出できず、全体的な歩留まり低下につながるため、ピント位置の変化に対応しながら、鮮明な画像を安定して取得できる外観検査(AOI)装置が求められています。

MLCCの積層工程における位置合わせ:積層高さの変化に対応するには、リアルタイムなピント調整が必要不可欠
MLCCの積層工程における位置合わせ:積層高さの変化に対応するには、リアルタイムなピント調整が必要不可欠

車載用MLCCの外観検査における撮影要件

車載用MLCCの外観検査では、積層高さが常に変化するため、画像ボケの低減リアルタイムかつ安定したピント調整が必要になります。


積層工程の位置合わせにおいてマイクロ単位のずれがあるだけでも、熱膨張による内部ストレスのかかり方にバラつきが発生し、電極とチップ端部の間隔が狭くなって割れやショートのリスクが高まります。長期的な信頼性を向上させるには、積層高さにかかわらず、安定した撮像を確保しながら、位置ずれを正確に検出しなければなりません。

つまり、画像ボケの低減と動的ピント調整の2つの撮影要件を満たすことが非常に重要になるのです。

標準レンズ:遠近歪みによってアライメントマークの大きさが変化 | テレセントリックレンズ&液体レンズ:わずかな誤差はあるものの、一定の光学倍率を維持
標準レンズ:遠近歪みによってアライメントマークの大きさが変化 | テレセントリックレンズ&液体レンズ:わずかな誤差はあるものの、一定の光学倍率を維持

寸法交差と電極位置の厳格な管理

熱膨張の影響を抑えながら、車載用MLCCの安全性を確保するには、寸法公差と電極位置を厳格に管理しなければなりません。

しかし、標準レンズを使用する場合、撮影距離によって遠近歪みが発生するため、積層時に画像内のアライメントマークの大きさエッジ位置が変化し、正確な中心座標を算出できません。こうして積層ごとに位置ずれ(ΔX、ΔY)が増大すると、全体的な積層精度の低下につながります。

遠近歪みを防止し、積層高さにかかわらず、正確かつ一貫した位置合わせを実現するには、テレセントリックレンズに加え、動的ピント調整が可能な液体レンズを採用するとよいでしょう。2種類のレンズを組み合わせる場合、解像力の違いによって光学倍率が変化しますが、予測可能かつ小さな誤差であるため、適切なレンズを選定したうえで、システムレベルの検証を実施すれば、問題なく対応できます。

MLCCの検査フロー:積層前のセラミックシート検査、積層工程における位置合わせ、切断工程におけるチップ欠けの3D検査
MLCCの検査フロー:積層前のセラミックシート検査、積層工程における位置合わせ、切断工程におけるチップ欠けの3D検査

積層高さに左右されない安定したピント調整

MLCCの積層数が多くなると、ピントの合う範囲が被写界深度の限界を超えます。

この状況で動的ピント調整を行わないと、アライメントマークの輪郭がボケてしまうため、中心位置を安定して特定することができません。

しかし、機械的機構でピントを調整すると、振動に弱い、待ち時間がある、応答速度が遅いなどの問題により、位置合わせの精度と全体的なサイクルタイムが低下してしまいます。

一方、液体レンズとオートフォーカス(AF)アルゴリズムを組み合わせれば、機械的機構に頼らないリアルタイムなピント調整により、常に鮮明な画像を取得できるため、高速で積層を行いながら、アライメントマークを安定して撮影できます。


MLCC積層位置合わせ向けFPGAビジョンソリューション

MLCCの積層位置合わせにおけるさまざまな課題を解決するには、ホスト側ではなく、FPGA上でAF制御を行うとよいでしょう。

‌FPGA搭載フレームグラバーとアルゴリズムを活用した画像式オートフォーカスソリューション

まず、最適なレンズを選定します。MLCCの積層工程は撮影距離が常に変化するため、テレセントリックレンズで安定した撮像を確保しながら、ピントを動的に調整しなければなりません。Baslerでは、位置合わせの信頼性を確保するため、必要な焦点距離を把握したうえで、最適なテレセントリックレンズと液体レンズをご提案しています。

次に、ケーブル取り回しやセットアップにかかる労力を軽減するため、画像処理機器のFPGAにAFアルゴリズムを実装します。従来のように産業用PCと液体レンズを接続すると、ケーブル数が増加するだけでなく、システムエンジニアによるAF制御が必要になりますが、FPGA上でAF制御を行えば、システム構造を大幅に簡易化できます。

最後に、ピントの合った画像をリアルタイムに取得するため、AFアルゴリズムを介してクローズドループ制御を行います。FPGA上でAFアルゴリズムを運用し、クローズドループ制御を行えば、レイテンシーや機械的な待ち時間を抑えながら、積層工程の全体を通してアライメントマークを鮮明に捉えることができます。

位置合わせの信頼性と一貫性の確保

  • 積層高さに左右されない安定したピント調整:機械的動作や振動の影響を受けず、積層高さが変化しても鮮明な画像を撮影可能

  • 高精度な位置合わせ:撮像時にリアルタイムにピントを調整し、一貫した画質を確保することで、アライメントマークを正確に検出

  • 高スループット:機械的な待ち時間がないため、積層速度を維持したまま、高速位置合わせが可能

  • 簡単セットアップ:外部のレンズコントローラーをはじめ、余計な構成機器を排除することで、セットアップにかかる労力を低減

車載用MLCCは、積層に使用されるセラミックシートの厚みが増しているだけでなく、小型パッケージ(0603サイズ、0402サイズなど)で最大限の静電容量を確保するため、積層数が数百層から1000層近くに増加しています。厚膜化と多層化に伴い、従来のレンズでは十分な被写界深度が得られなくなっているなか、積層時に安定してピントを合わせるには、液体レンズとAFアルゴリズムが欠かせません。
Chris Kim
キーアカウントマネージャー | Basler Korea

積層前のセラミックシート検査

セラミックグリーンシートの異物や表面欠陥、印刷不良を検出し、MLCCの構造面の品質を確保するには、積層前に検査を実施しなければなりません。セラミックシート検査では、一貫した解像度と安定した画質を確保しながら、シート幅に合わせて広範囲を撮影する必要があるため、高速ラインスキャンシステムが一般的に使用されています。

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