活用事例

コンタクトレンズの外観検査におけるマシンビジョンの活用

コンタクトレンズの検査精度と品質向上に貢献

世界的に需要が拡大している使い捨てコンタクトレンズ。そのクリアな視界と快適な着け心地を実現するには、高速製造ライン上で全数検査を実施したうえで、厳しい品質基準を満たさなければなりません。以下では、コンタクトレンズの外観検査(AOI)にマシンビジョンを活用し、医療機器としての安全性を確保しながら、スループットと歩留まりを最大限に向上させる方法について解説します。

医療機器としての安全性を確保しながら、大量生産と信頼性の高い検査が求められるコンタクトレンズ
医療機器としての安全性を確保しながら、大量生産と信頼性の高い検査が求められるコンタクトレンズ

コンタクトレンズの外観検査

医療機器の一種であるコンタクトレンズは、わずかなキズや異物が目の不快感やトラブルにつながるため、ゼロディフェクトを目指した品質管理が欠かせません。しかし、目視検査の場合、1分間当たり数百個の製造速度に対応できないだけでなく、人的ミスが発生するおそれもあります。

コンタクトレンズの大量生産:一貫した品質を確保するため、信頼性の高い検査が必要不可欠
コンタクトレンズの大量生産:一貫した品質を確保するため、信頼性の高い検査が必要不可欠

大量生産に対応した高速インライン検査

コンタクトレンズの製造現場では、コンタクトレンズを生理食塩水で満たされたブリスターパックに入れたうえで、封止前の状態でインライン検査を実施します。この外観検査の工程では、見た目や安全上の問題がないかを確認するため、製造ラインの速度にかかわらず、正確なタイミングで再現性の高い撮像を行わなければなりません。

外観検査装置を導入するメリット

  • 全数検査による安全性の確保

  • 365日24時間体制の一貫した検査の実現

  • 製造速度の維持

  • 欠陥の早期発見による歩留まりの改善

  • 検査結果の自動記録による各種規格への準拠(米国食品医薬品局(FDA)連邦行政規則集(CFR)第21編第11部など)


コンタクトレンズの外観検査における課題

製造速度を維持したまま、生理食塩水に浸された透明なコンタクトレンズを検査するには、以下のような課題を解決しなければなりません。

  • 気泡と異物の識別:暗視野撮影の場合、ブリスターパック内に発生する気泡と異物の識別が難しいため、誤判定による良品廃棄が増加

  • 低コントラストな欠陥の検出:生理食塩水に浸された透明なコンタクトレンズは、反射光や光学的ノイズによってコントラストが低下するため、亀裂・欠け・キズ・濁りの検出が困難

  • 微細な欠陥の検出:コンタクトレンズの欠陥は極めて小さい(幅8~20µm、長さ5~100µm)ため、正確な検出が困難

  • 分解能とスループットの両立:欠陥の検出精度を向上させるには、3画素以上の最小検出画素数を確保したうえで、1画素当たり3~5µmの分解能1分間当たり数百個の製造速度の両立が必要

  • 素材の柔軟性への対応:素材に水分を含むコンタクトレンズは、弾力があって柔らかいため、光学系とアルゴリズムを慎重に設計しないと、正確なエッジ検出や寸法測定が困難

上記の課題を解決し、信頼性の高い欠陥検出を実現するには、照明、レンズ、カメラ、アルゴリズムを最適に組み合わせる必要があります。

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透明なコンタクトレンズをはじめ、対象物のコントラストが低い場合は、複雑な照明機器なしでコントラストを向上させることが可能なSWIRカメラを導入するとよいでしょう。


可視光画像とSWIR画像(1300nm)の比較:コンタクトレンズのキズを含め、SWIR画像は隠れた表面欠陥を鮮明に撮像可能
左:レンズとキズが同化している可視光画像 | 右:レンズとキズを正確に識別できるSWIR画像(1300nm)[照明提供:シーシーエス株式会社]

照明選定のポイント:隠れた欠陥の可視化

生理食塩水に浸された透明なコンタクトレンズの検査が難しい理由は、生理食塩水とコンタクトレンズの屈折率がほぼ同じで、明視野照明を使用すると、レンズ曲面からの複数の反射光によってグレアが発生するためです。

生理食塩水とコンタクトレンズの屈折率がほぼ同じであるため、明視野照明下ではレンズと背景の識別が困難
生理食塩水とコンタクトレンズの屈折率がほぼ同じであるため、明視野照明下ではレンズと背景の識別が困難

生理食塩水とコンタクトレンズの屈折率

  • 生理食塩水:~1.336

  • ハイドロゲルコンタクトレンズ:~1.40

  • シリコンハイドロゲルコンタクトレンズ:~1.42

また、屈折率が近いにもかかわらず、従来の明視野照明で光を照射すると、レンズと背景が同化してしまうおそれもあります。

このような場合は、ローアングルから光を照射する暗視野照明を採用するとよいでしょう。表面欠陥や内部欠陥からの散乱光のみを捉えることで、レンズ中心部が暗く映るため、亀裂・異物・気泡とレンズ周辺部を浮き上がらせることができます。

また、暗視野照明は高コントラスト撮影にも適しており、日光下で埃が見える原理と同様に、欠陥が鮮明に可視化されるため、検査の信頼性が向上します。

コンタクトレンズ検査向けビジョンソリューション

暗視野照明、高精度レンズ、産業用カメラから構成されているコンタクトレンズ検査装置
暗視野照明、高精度レンズ、産業用カメラから構成されているコンタクトレンズ検査装置

適切な光学設計による透明レンズの可視化

コンタクトレンズ検査の信頼性を向上させるには、慎重な光学設計安定した撮像が求められます。

光学設計の一例

実際の光学要件は、コンタクトレンズの素材や含水率によって異なります。Baslerでは、実現可能性検証を実施したうえで、最適な光学設計をご提案しています。

光学設計に関するお問い合わせはこちら
ルールベース検査またはAI検査にかかわらず、安定した撮像を実現する高画素モノクロカメラ
ルールベース検査またはAI検査にかかわらず、安定した撮像を実現する高画素モノクロカメラ

Baslerカメラによる信頼性向上

コンタクトレンズの外観検査において、十分な画質の確保は欠かせません。信頼性の高いBaslerカメラなら、後続の画像処理やAI画像解析に必要な一貫した画質を実現できます。

Baslerカメラの特長

  • 歪みを抑えながら、微細な欠陥を鮮明に可視化するグローバルシャッター方式の高画素モノクロカメラ

  • データ転送の信頼性と安定性を向上させる産業用インターフェース(GigE Visionなど)

  • 限られたスペースにも簡単に設置できるコンパクトなボディ

Baslerでは、さまざまな画素数、フレームレート、イメージサイズ、インターフェースに対応したカメラを幅広く取り揃えているため、ルールベース検査またはAI検査にかかわらず、安定した撮像を実現できます。

カメラに関するお問い合わせはこちら
生理食塩水に浸されたコンタクトレンズを検査するには、極めて高度なマシンビジョン技術が求められます。適切な暗視野照明を選定し、安定した撮像を実現すれば、製造速度を維持したまま、微細な欠陥を正確に検出することができるでしょう。
Baslerフィールドアプリケーションエンジニア兼チームリーダー

コンタクトレンズ検査の注意点

透明なレンズの撮影、生理食塩水とレンズの識別、製造速度の維持をはじめ、コンタクトレンズを検査する際には、さまざまな点に注意しなければなりません。

装置開発のポイント

  • 最適な照明の選定:ローアングルの暗視野照明により、透明なレンズの表面にある欠陥を可視化

  • 慎重な光学設計:周囲の生理食塩水やレンズの曲面形状にかかわらず、一貫した撮像を実現

  • 十分な空間分解能の確保:8~20µmの微細な欠陥を検出

  • 安定した撮像:ルールベース検査とAI検査の両方に対応

  • バランスの取れた装置設計:製造ラインの速度に合わせて分解能とスループットを両立

上記に配慮したうえで、照明、レンズ、カメラなどを最適に組み合わせれば、コンタクトレンズのインライン検査に最適な信頼性の高い外観検査装置を開発できるでしょう。

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