エンベデッドビジョン

エンベデッドビジョンシステムに適したインターフェースとは?

インターフェース徹底比較

インターフェースは、ビジョンシステムの画質・帯域幅・拡張性・コストを左右する重要な要素です。以下では、各種インターフェースのメリット・デメリットを比較しながら、エンベデッドビジョンシステムに適したインターフェースを選定する方法について解説します。

  • 最終更新日: 2026/04/28

エンベデッドビジョンシステムに適したインターフェースとは?

エンベデッドビジョンインターフェースについて知っておくべきこと

  • ボードレベルインターフェース(MIPI CSI-2、LVDS、パラレルインターフェース):ハードウェアコストが低い代わりに、システム構築にかかる労力が大きい

  • システムレベルインターフェース(GigE、USB、GMSL、CoaXPress):柔軟性と拡張性に優れ、長距離データ転送が可能

  • インターフェースの選定要件:帯域幅レイテンシーデータ転送距離拡張性システムコスト

インターフェースの種類

インターフェースを大きく分けると、ハードウェアコストが低い代わりに、システム構築にかかる労力が大きいボードレベルインターフェースと、柔軟性と拡張性に優れ、長距離データ転送が可能なシステムレベルインターフェースの2種類があります。

エンベデッドビジョンインターフェースの選定要件

エンベデッドビジョンインターフェースを選定する際には、以下の要件を考慮するとよいでしょう。

‍帯域幅

エンベデッドビジョンシステムのボトルネックとなる非常に重要な要件です。必要帯域幅は、解像度・色深度・フレームレートによって異なります。帯域幅が広いほど、画像取得・処理・解析の速度は向上します。帯域幅が狭すぎると、画像が粗くなったり、遅延が生じたりするおそれがあります。


レイテンシー

カメラトリガーから画像取得までにかかる時間を指します。エンベデッドビジョンシステムのリアルタイム性を確保するには、レイテンシーを一定にする必要があります。


データ転送距離

画像データをロスなく転送できる距離を指し、インターフェースによって異なります。リボンケーブルを使用するMIPI CSI-2は最大30cm、イーサーネットケーブルを使用するGigE/5GigEは最大100mのデータ転送が可能です。


拡張性

システムに大きな調整を加えることなく、要件変更に対応する能力を指します。拡張性が高いと、カメラの増設や画質の向上にスムーズに対応できます。


コスト

特殊なケーブルの有無、ライセンス購入の必要性、システムの開発・構築方法によって異なります。また、機器・部品の長期供給が可能かどうかも、システム全体のコストに影響します。

代表的なインターフェース
メリット&デメリット

USB 2.0、USB 3.0、MIPI CSI-2をはじめ、エンベデッドビジョンシステムにはさまざまなインターフェースが使用されています。代表的なインターフェースを整理したうえで、それぞれのメリットとデメリットを以下の一覧表にまとめました。


MIPI CSI-2

GMSL2

USB 3.0

GigE
5GigE

CoaxPress

マシンビジョン規格(Baslerカメラの対応規格)

GenTL

GenTL

USB3 Vision

GigE Vision

CoaXPress 2.0

帯域幅

1レーン当たり1~4.5Gbps

6Gbps

5Gbps

1Gbps
5Gbps

1チャンネル当たり12.5Gbps

レイテンシー

非常に低い

低い

低い

高い
低い

非常に低い

データ転送の安定性

非常に高い

非常に高い

高い

非常に高い

非常に高い

CPU負荷

低い

低い

低い

高い
低い

低い

データ転送距離

<30cm

最大20m

最大5m

最大100m

最大40m

ケーブル1本の運用


不可

データケーブルによる同期

不可

ケーブルの耐久性(EMC耐性、耐振動性)

低い

高い

高い

高い

高い

システムの拡張性

低い

中程度(ホスト機器の調整が必要)

高い(ハブ)

非常に高い(スイッチ)

中程度(マルチプレクサー)

OS

Linux ARM

Linux ARM

Windows、Linux x86、Linux ARM、macOS、Android

Windows、Linux x86、Linux ARM、macOS

Windows、Linux x86

CPUアーキテクチャー

ARM

ARM

x86、ARM

x86、ARM

x86

システムコスト(カメラ、ケーブル、画像入力ボード)

非常に低い

低い

低い

中程度

高い

MIPI CSI-2とGMSLについて

MIPI CSI-2とGMSLは、エンベデッドビジョンシステムに広く使用されているインターフェースです。それぞれの導入方法と注意事項については、以下をご覧ください。

エンベデッドビジョンインターフェースとして注目されるMIPI CSI-2
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GMSLインターフェース
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高速シリアルインターフェースであるGMSLは、MIPI CSI-2など幅広い映像通信規格の信号をトンネリングし、伝送距離を大幅に延伸できることから、さまざまな画像処理用途への活用が期待されています。しかし、マシンビジョン関連の規格が策定されていない独自インターフェースであるため、ビジョンシステムへの導入難易度が高いのが現状です。

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エンベデッドビジョンインターフェースの選定に関する注意事項

インターフェースの選定は、単独で行われたり、開発後期に回されがちな作業です。しかし、帯域幅・拡張性・運用環境などを考慮したうえで、開発の初期段階でインターフェースを決定しておかないと、プロジェクト全体の技術的リスクが増大し、設計調整が必要になるおそれがあります。インターフェース選定に関する注意事項を以下にまとめました。

  • 帯域幅の計算:解像度とフレームレートだけでなく、色深度、トリガー方法、将来的な性能拡張なども考慮に入れないと、運用時や製品更新時に帯域幅不足が発生

  • EMC対策:長距離データ転送向けインターフェースではなく、短距離データ転送向けのボードレベルインターフェース(MIPI CSI-2)を選択した場合、産業用途やモバイル用途の過酷な環境において電磁波の影響が増大

  • ケーブル長の決定:センサーとプロセッサーの距離、同期が必要なカメラ間の距離が未定の場合は、開発後期にインターフェースを変更しなければならなくなるリスクを避けるため、ボードレベルインターフェースよりも柔軟性に優れたGigEやGMSLが安全

  • 拡張性への配慮:シングルカメラシステムからマルチカメラシステムへの変更が発生した場合、同期機構や十分なホストリソース、標準化された規格がないと、システム全体の調整が必要になるため、拡張の有無を事前に確認することが重要

  • システム構築にかかる労力の予測:対応ソフトウェアや標準ドライバーが充実しているインターフェース(USB3 VisionGigE Visionなど)を選択したとしても、専門的かつ高度な撮影を行う場合は、システムの検証・保守にかかる労力が増大するおそれがあるため、慎重な予測が必要不可欠

  • 要件に基づいたインターフェース選定:システム構造やインターフェースの知名度のみで判断するのではなく、実際の撮影要件(データ転送・安定性、レイテンシー、ケーブルの耐久性など)に基づいてインターフェースを選定することが重要

用途別のおすすめのインターフェース

最適なインターフェースは、実際の用途によっても異なります。用途別のおすすめのインターフェースは、以下の通りです。

コンパクトなエンベデッドビジョンシステムに最適なMIPI CSI-2

コンパクトなエンベデッドビジョンシステムを構築するなら、MIPI CSI-2がおすすめです。センサーとSoCを直接接続し、オンボードで画像処理を行うため、小型化を実現しながら、システム構築にかかる労力も抑えられます。

無人搬送車(AGV)やAMR(自律走行搬送ロボット)に最適なGMSL

無人搬送車(AGV)、AMR(自律走行搬送ロボット)をはじめ、EMC耐性と耐振動性が求められる場合は、GMSLを選択するとよいでしょう。高速・長距離データ転送に対応しているだけでなく、配線スペースも少なくて済みます。

産業用インライン検査装置に最適なGigE、USB 3.0

産業用インライン検査装置は、固定カメラによる撮影と画像の一括処理を行うため、GigEやUSB 3.0を使用するのが一般的です。相互運用性に優れているため、既存の設備にも簡単に導入できます。

高速検査装置に最適なCoaXPress

大容量のデータを取り扱う高速検査装置には、帯域幅を最大限に活用しながら、レイテンシーも抑えられるCoaXPressが広く使用されています。

まとめ:体系的なシステム分析によるエンベデッドビジョンインターフェースの選定

あらゆる用途に対応したエンベデッドビジョンインターフェースは存在しません。そのため、インターフェースを選定する際には、技術的適性とコストの両方に配慮したうえで、帯域幅、レイテンシー、データ転送距離、システム構築にかかる労力などを慎重に検討する必要があります。

また、体系的なシステム分析を早期に実施することも、インターフェース選定の信頼性を確保するうえで非常に重要です。開発の初期段階において、画像処理を行う場所、今後の拡張の可能性、運用環境などを確認しておけば、後続作業でコストのかかる調整を行わなくて済みます。

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