画像処理システムの基礎知識
画像処理システムを使用して食べ物の写真を美しく撮る方法
誰でも新鮮で美味しそうに見える食べ物を好みます。食べ物の品質保証の工程では画像処理システムが画像認識 によく使用されており、新鮮で高品質なもののみが出荷されるようになっています。このような判別作業を正しく行うためには、画像情報が必要不可欠なのです。
では、このような画像処理ソリューション は一体どのようにして開発されているのでしょうか?開発に必要な工程や考慮すべきポイント、考えられる選択肢にはどのようなものがあるのでしょうか?
例えば、リンゴの生産者がリンゴを検査するためのマシンビジョンシステムの開発を依頼したとします。生産者は同じ品質のリンゴを出荷したいと考えているため、画像で品質の悪いリンゴを高速で認識・選別 する能力を必要とするでしょう。このような場合には、以下の項目を明確にしておかなければなりません。
システムの具体的な要件
必要な解像度とセンサー
カラーカメラを使用するか、モノクロカメラを使用するか
必要なカメラ機能と求められる画質
カメラの目となるレンズの性能と倍率
使用する照明
必要なコンピューターハードウェア
必要なソフトウェア
必要となるものを把握するための要件設定
画像処理システム を通じてどのような条件でどのような画像を撮影する必要がありますか?
システム要件と撮影環境は、ビジョンシステムの構築において見過ごされがちな要素です。しかし、これらを事前に明確にしておけば、結果として時間とコストの削減につながります。
画像処理システム 要件について、以下の項目をご確認ください。
撮影対象物の画像のみを撮影しますか?それとも、拡大機能や特殊な照明を使用して人間の目には見えない製品の特性を撮影する必要がありますか?
撮影対象の製品のサイズや寸法安定性といった特性を測定する必要がありますか?
ピックアンドプレースシステムなど、位置の正確さを検査する必要がありますか?
検査で得られた情報は、どのように分類、特定されていますか?
解像度とセンサー
用途に応じて適切な画像処理カメラを選定する にはどうすればいいのでしょうか?センサーサイズや解像度は、検査の要件に基づいて決定しなければなりません。
しかし、まずは解像度の本当の意味を知る必要があります。従来のカメラの場合、解像度とは画像の中で判別可能な2つの実在する点または線の間の距離を指します。
デジタルカメラの世界では「画素数2MP」という言い方をよくしますが、これはセンサー面に配置された総画素数のことです。実際の解像度については、カメラ、レンズ、撮影条件(撮影範囲、視野角など)のすべてが定まった後でなければわかりません。ただし、画素数と解像度の間には深い関係があり、画素数が多いほど解像度は向上します。つまり、画素数とは、最適な撮影条件下における最大解像度を示したものといえるでしょう。
解像度を向上させたい場合や検査範囲を広げたい場合には、非常に多くのピクセル数を持つカメラが必要になります。高解像度で広範囲の検査を行う場合には、複数のカメラを設置する場合もあります。実際のところ、全範囲をカバーできる高価で特殊なレンズを搭載したカメラを1台使用するよりも、標準的なレンズを搭載したカメラを複数台使用するほうが多くの場合でコストを抑えられます。
センサーサイズと視野角は倍率を左右し、後続のレンズ選びで重要になります。
カラーとモノクロの比較
一般的に、カラーカメラを本当に必要とする用途はごく限られており、単に多くの人にとって見やすいという理由からカラー画像を使用するということがほとんどです。カラーカメラを使用して色を忠実に再現しようとする場合には、白色照明も用意しなければなりません。色で特性を検知できる場合(赤いりんごについたキズ)は、カラーカメラが必要になりますが、これも必須ではありません。多くの場合、色のついた照明を使用すれば、モノクロカメラの白黒画像でもこのような特性を検知することができます。適切なサンプルを使用して実験をすれば、このことがよく分かります。カラーカメラは元々モノクロカメラよりも感度が低いため、色が関係ない場合はモノクロカメラを使用することをおすすめします。
検査作業が複雑である場合、特に全く異なる幅広い特性を撮影する必要があり、様々な照明やレンズを使い分けなければならない時には、複数のカメラの使用をご検討ください。
カメラ機能と画質のイメージ
良いカメラとはピクセル数だけで決まるものではありません。画質やカメラ機能についても考慮に入れる必要があります。
デジタルカメラの画質を評価する際には、解像度のほかにも以下の要素が重要になります。
光感度
ダイナミックレンジ
SN比
カメラ機能については、一般的にフレームレート(fps)で表される速度が最も重要で、これは1秒間当たりに撮影可能な最大フレーム数を示しています。
カメラの目となるレンズの性能と倍率
良いレンズは価格も高くなります。多くの場合、標準的なレンズがあれば十分に作業を行うことができます。適切なレンズを見つけるには、以下のような情報が必要になります。
レンズマウントの種類
ピクセルサイズ
センサーサイズ
倍率(画像と対象物の大きさとの比率)
焦点距離(カメラと対象物の間の距離や最終的に倍率にも影響)
光感度
これらの情報が確定したら、レンズメーカーが提供する仕様を確認し、手頃な価格の標準的なレンズで十分なのか、それともハイエンドのレンズが必要なのかを簡単に検討できます。
ディストーションや解像度(MTF曲線で表されます)、色収差、そして対応するスペクトル範囲などのレンズの特性もレンズを選ぶ際の参考材料となります。
近赤外線対応のレンズ、広角レンズ(魚眼レンズ)、長さの測定に適しているテレセントリックレンズをはじめ、特殊なレンズも存在しますが、これらは価格が高くなります。
ここでも、実験やテスト撮影が要件を明確にするための最も効果的な方法となります。
照明
暗い場所で物が見づらくなることは当たり前のようですが、画像処理ソリューション でも同様のことが言えます。
高速で検査を行うには、感度の高いカメラと高性能のレンズが必要になります。しかし、多くの場合、画像の明るさを向上させるには照明環境を変更するか、改善するほうが簡単です。画像の明るさを向上させる方法には様々なものがあり、環境光を明るくしたり、レンズやフラッシュなどの特殊な照明を使用したりすることで、適切な光源を作り出すことができます。しかし、照明の強度だけが重要ではありません。光がレンズを通ってカメラに入るまでのルートも大切です。
撮影の際に環境光が足りない場合、一般的な例としてフラッシュを使用して必要な光を得ます。しかし、撮影範囲に光沢のある面を持つ物があると、反射を起こして求めるような結果が得られないため、対応措置を講じる必要があります。画像処理を行う際には、平らで反射性の低い物に対する光強度を向上させるためにこのような反射現象を利用する場合もあります。一方で、多くの面で様々な方向に光を反射する物に対しては、少ない光で十分です。
コンピューターハードウェア
どのようなハードウェアが必要かは、実際の作業や求められる処理速度によって異なります。簡単な作業であれば標準的なコンピューターや画像処理パッケージで処理できますが、高速かつ複雑な画像処理作業には専用のハードウェアが必要になる場合もあります。
ソフトウェア
画像にアクセスするためには、ソフトウェアが必要です。ほとんどのカメラには画像の表示やカメラの設定を行うソフトウェアが付属しており、カメラを使用するには十分ですが、特殊な用途や画像処理作業の場合は、専用のソフトウェアを購入するか、カスタムメイドで開発する必要があります。
まとめ
画像処理システムの開発を始める前には、カメラからレンズ、照明、そしてシステムを支えるコンピューターハードウェアとソフトウェアに至るまで、使用するすべての構成機器について数多くの事柄を考慮しなければなりません。
しかし、事前に時間を割いて実際の作業や周辺環境の障害となる要素を明確し、段階を追って進めれば、これは決して難しいことではありません。このトピックの詳細については、当社のホワイトペーパーをご覧ください。 画像処理システムの基礎
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