新型コロナウイルス向けワクチンバイアルの自動検査におけるBaslerカメラの活用
概要
楚天科技股份有限公司(Truking Technology)は、バイオ医薬品向けの包装機械や自動化設備の製造において20年以上の実績を有する医薬品用機器のトップメーカーです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るうなか、世界各国の協力により、わずか1年足らずでワクチンが完成しました。しかし、接種して初めて効果を発揮するワクチンに対し、需要が急激に高まった結果、供給不足が発生しています。
このような状況を打破するため、Truking Technology社では、ワクチンバイアルの安全性と生産速度を向上させる自動検査装置を開発しました。
課題
バイアルとは注射剤を入れるガラス製容器のことで、封入時にコンタミネーションが発生するおそれがあるため、生産の際には以下の項目を中心にさまざまな外観検査を行い、欠陥を防止しなければなりません
異物(ガラス片、繊維)の有無
キャップ・封印帯の有無、キャップの位置、充填量
外観・機能欠陥の有無
一方、従来の外観検査では、以下のような課題がありました。
形状、物理特性、表面の状態をはじめとする多くの項目を限られたスペースで検査しなければならない。
容器自体が円筒状であることに加え、移動の際に透明なワクチン液の中に光を反射する 気泡が発生するなど、画像による解析が難しい。
高い速度・精度・安定性が求められる。
ソリューション
Truking Technology社では、Baslerのカメラ、レンズ、ケーブルを組み合わせることで、用途に応じて使い分けられる以下の2種類のバイアル自動検査装置を開発しました。
1. 複数のエリアスキャンカメラを搭載したバイアル自動検査装置
用途:ワクチン液検査、バイアル外観検査
構成:Basler ace U USB 3.0対応モデル(acA1300-200um)×16~20台
高速エリアスキャンカメラのBasler ace Uを16~20台を使用した構成。画像比較用にバイアルの各部位を撮影した後、高度な画像解析アルゴリズムとディープラーニングアルゴリズムを搭載した専用のビジョンソフトウェアにより、コンタミネーションや欠陥がないかを分析し、良否判定を行います。
AIを利用して欠陥検知をサポート
バイアルの移動時に発生する気泡やワクチン液中の異物(ガラス片、金属片、繊維、毛髪)については、AIを利用して判別します。また、充填量も同時に確認できます。
Basler ace U(acA1300-200um)は最大画素時フレームレート200fpsを誇り、ROIモードでも高速撮影が可能であるほか、優れた撮影効率・同期精度・信頼性を有するなど、業界内で高い評価を獲得しています。
同期精度の高いマルチカメラシステムを構築
この装置では、Basler ace UのUSB 3.0対応モデルを複数台使用し、異なる角度の画像を同時に撮影することで、検査の効率性・精度を向上させました。
2. 複数のラインスキャンカメラを搭載した動体撮影向けバイアル自動検査装置
用途:バイアル表面検査
構成:Basler racer USB 3.0対応モデル(raL2048-200um)×2台、FAレンズ
高画素ラインスキャンカメラのBasler racer 2台、FAレンズ、特別開発の専用照明を使用した構成。円筒状のバイアル表面の欠陥(割れ、キズ、スラグ、黒点)を検出します。
円筒状の物体の撮影にはラインスキャンカメラが適しており、回転しながら高速で移動するバイアルの表面を1列ずつ読み出し、平坦な2D画像に変換することが可能です。
高速で動くバイアルの欠陥を正確かつ自動的に検知
バイオ医薬品業界では、検査の効率化と精度向上を目的として、従来の目視による品質管理を自動化する動きが進んでいます。なかでも、新型コロナウイルス向けワクチンバイアルの自動検査では、精度・速度・効率性の面で厳しい要件を満たす必要があるため、今回の装置には最先端の画像解析アルゴリズムとAIが導入されました。
使用製品
ご紹介したソリューションの導入には、以下の製品が最適です。