高度な画像処理によるレンズの歪曲収差補正
概要
レンズ収差のうち、取得画像の形状にひずみが生じることを歪曲収差といいます。歪曲収差は、半径方向と円周方向の2種類に分かれており、さらに半径方向の歪曲収差には樽型、糸巻き型、陣笠型の3種類があります。
樽型歪曲収差は広角レンズ(焦点距離50mm以下、前面絞り)、糸巻き型歪曲収差は望遠レンズ(焦点距離50mm以上、背面絞り)に多く見られます。陣笠型歪曲収差は、樽型と糸巻き型が合わさったもので、あまり多くは見られません。
特に測定、計量など正確な撮影が求められる用途では、歪曲収差によって誤差が発生すると、機械学習アルゴリズムの精度やシステム全体の信頼性に影響を及ぼすため、適切な補正を行うことが重要です。
課題
レンズの歪曲収差は、ハードウェアとソフトウェアの両方による対策が可能です。ハードウェアによる簡単な対策としては、歪曲収差を最小限に抑えられる直線レンズがあります。撮影時に直接補正を行うため、画像の後処理をしなくて済みますが、レンズが固定されるうえ、補正可能な歪曲収差の種類も限られます。一方、ソフトウェアによる対策ならこのような心配はありません。
ただし、ソフトウェアで歪曲収差を補正する場合は、ピクセルレベルの処理を行うためCPU負荷が高い、専門知識なしで一からアルゴリズムを開発するのに時間がかかるといった課題に対処する必要があります。
ソリューション
Baslerでは、要件に応じて細かな調整を行いながら、広角撮影における樽型歪曲収差を補正するソリューションを開発しました。
以下のシステム構成図にある通り、このソリューションではフレームグラバーでRAW画像データを取得した後、画像の解析や補正に必要な各種処理を行ったうえで、ホスト側のDMAに瞬時に転送します。
しかも、要件に応じてヒストグラム拡張やブロブ解析を行うアルゴリズムを追加し、画像処理パイプラインをカスタマイズすることも可能です。このようにして必要な特徴を強調すれば、ホスト側でスムーズに画像解析を行えます。
メリット
レイテンシーを抑えたリアルタイムな処理:フレームグラバー上で画像を一括で処理・転送
優れた柔軟性&カスタマイズ性:用途に応じて迅速かつシームレスなソリューションをご提案
迅速な市場投入:想定外の技術的問題に対応しながら、効率的な製品開発をサポート
使用製品
ご紹介したソリューションの導入には、以下の製品が最適です。