CCDとCMOSの比較
産業用カメラにおすすめのセンサー
CCDセンサーより優れている最新CMOSセンサー
2015年3月にソニー社がCCDセンサーの生産終了を発表したことで、技術開発の焦点はCMOSセンサーへと移りました。当時はまださまざまな点でCCDセンサーより劣っていたCMOSセンサーですが、ここ数年で大きく進化した結果、多くのデメリットがメリットへと変わっています。
もちろん、CMOSセンサーとCCDセンサーの優劣を簡単に決めることはできません。なぜなら、以前はいずれのセンサーも競争力が高く、用途に応じて使い分けられていたからです。しかし、開発が止まったCCDセンサーと8年以上も進化を続けるCMOSセンサーの比較は、今や意味を成さないといえます。その証拠として、高速・高解像度・省電力に加え、ノイズ性能や量子効率、色忠実性にも優れているCMOSセンサーは、かつてCCDセンサーが主流であった用途においても導入が進んでいます。
Baslerでは、最適な代替センサーが簡単に見つかるCCD移行アドバイザーを公開しています。CMOSからCCDへの移行をお考えなら、ぜひお試しください。
CCDとCMOSの比較:技術的構造
技術の進歩とコストパフォーマンスの向上により、産業用画像処理業界において注目が高まっているCMOSセンサー。特に最新世代のモデルは、画質に影響を与えることなく、高速データ転送を実現できることが大きな特長となっています。
イメージセンサーの役割
CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)センサーとCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)センサーは、いずれも光(光子)を電気信号(電子)に変換しますが、その技術的構造には大きな違いがあり、画素から画素へと電荷を転送してから一括で読み出しを行うCCDに対し、CMOSは画素ごとに電荷を読み出します。
量子効率
以前のCMOSセンサーには、光を電気信号に変換する効率が非常に低いというデメリットがありました。しかし、チップにマイクロレンズを配置するなど、さらなる進歩を遂げた結果、今ではCCDセンサーと同等以上の感度を実現しています。
フレームレート
縦方向と横方向にバケツリレー式に電荷を転送してから一括で処理するCCDセンサーと異なり、CMOSセンサーは画素ごとに電荷を処理するため、読み出し時間が短く済み、フレームレートが大幅に向上します。このように、画像データの生成が速くなれば、部品検査や交通監視などの用途において大きなメリットがあります。
ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジとは、カメラがノイズなしで識別できる画像信号の最小値と最大値の比率(飽和容量と感度限界の比率)をいいます。CMOSセンサーは一般的に飽和容量が高く、一つの画素に蓄えられる電子の最大数が多いものの、感度はあまり高くありません。つまり、CMOSセンサーとCCDセンサーのダイナミックレンジに大きな違いはないといえます。ただし、最近ではソニー社製IMX174をはじめ、CCDセンサーより優れたダイナミックレンジを持つCMOSセンサーも登場しています。
ブルーミングとスミア
CCDセンサーの場合、過度な光の入射により周辺の画素に電荷があふれ出して白く映る「ブルーミング」のほか、夜間に車のヘッドライトの光を浴びるなど、非常に強い光を受けた時に画像内に白い線が現れる「スミア」が発生するおそれがあります。しかし、明るい光に強いという特長を持つCMOSセンサーであれば、これらの不具合に悩まされることはありません。
グローバルシャッター
ソニー社製Pregius S、オンセミ社製PYTHONを搭載したBasler ace 2をはじめ、グローバルシャッターCMOSセンサーを搭載したカメラであれば、ローリングシャッター現象が起きる心配はありません。ただし、用途によってはローリングシャッターCMOSセンサーを搭載したカメラのほうが適している場合もあるため、選定の際には注意が必要です。
CCDカメラに取って代わる最新CMOSカメラ
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解説内容
カメラを移行する際に考慮すべきポイント
代替カメラの選定方法
最新CMOSカメラを導入する際の注意点
導入に必要な作業