導入事例

ステレオカメラによる自動車車体部品の溶接ビード検査

Basler Stereo aceの3D測定により、溶接ビードの欠陥を素早く正確に検出

顧客
Mindtrace Limited
所在地
イギリス・マンチェスター
‍日付
2026年3月

自動車車体部品を溶接する際には、安全基準を満たし、コストのかかる手直しを最小限に抑えるため、溶接ビード(溶接の肉盛り部)のインライン検査を実施しなければなりません。Mindtrace社製外観検査装置には、Basler Stereo aceが搭載されており、コントラストにかかわらず、部品や溶接ビードの高精度なポイントクラウドを生成したうえで、AIで3D構造を解析できるなど、正確性やサイクルタイムの面で目視検査を大幅に上回る性能を実現しています。

安全基準を満たしながら、コストのかかる手直しやリコールを防止するには、車体部品の確実な溶接が必要不可欠
安全基準を満たしながら、コストのかかる手直しやリコールを防止するには、車体部品の確実な溶接が必要不可欠

ステレオカメラによる車体溶接欠陥の検出精度の向上

高速で稼働する自動車車体部品の溶接ラインでは、安全性の確保やリークの防止、NVH(Noise:騒音、Vibration:振動、Harshness:乗り心地)性能の向上を目的として、徹底した溶接ビード検査が欠かせません。黒色塗料などの黒い素材、ガラスなどの透明素材、その他反射性の高い素材が使用されている車体部品を高速で検査するには、ステレオカメラを搭載した外観検査装置が適しています。

コントラストや色合いにかかわらず、高精度なポイントクラウドを生成し、溶接ビードと部品を正確に識別
コントラストや色合いにかかわらず、高精度なポイントクラウドを生成し、溶接ビードと部品を正確に識別

高速かつ正確なインライン検査

今回の外観検査装置は、凹凸のある車体部品向けに開発されたもので、溶接ビードを撮影した後、指定した許容値に基づき、AI解析によってビードの高さ・幅・連続性ビード長さの過不足などを評価します。そのうち、溶接ビードの撮影とポイントクラウドの生成にはステレオカメラ、AI解析にはMindtrace社製Brain-Sense™が使用されており、不良の早期排除を含むリアルタイムかつ確実な良否判定が可能です。

主な機能は、以下の通りです。

  • 溶接中にビード切れを検出し、不足分の長さを測定して表示

  • 線状のビード部分をセグメンテーションしたうえで、ビード長さに過不足がなければ緑、過不足があれば赤で色付け

溶接ビードのAI解析:ビード切れ、ビード長さの過不足、ビード厚さを表示
溶接ビードのAI解析:ビード切れ、ビード長さの過不足、ビード厚さを表示

ステレオカメラが溶接ビード検査に適している理由

正確な3D測定:2Dカメラよりも高さ方向(Z軸)の測定精度が高いため、ビード切れが発生する前にビード厚さの足りていない部分を検出可能

グレア(光沢)への耐性:2枚の画像を比較するため、2Dカメラのようにグレア対策を行わなくても、反射性の高い部品を撮影可能

幅広い車種への柔軟な対応:視野角と被写界深度が広いため、ロボットを交換しなくても、位置調整のみで部品の高さの違いに対応可能

検査速度:レーザーを順次照射する3Dレーザープロファイラーと異なり、 奥行き情報からわずか数秒で完全な3D画像を生成可能

2Dカメラ、3Dレーザープロファイラーと比較したステレオカメラの強み

2Dカメラ、3Dレーザープロファイラーと比較した場合、ステレオカメラには高速・低コストかつ素材や表面形状・質感に左右されないという強みがあります。2Dカメラは、凹凸のある部品、反射性の高い部品、低コントラストの部品に対応できません。一方、3Dレーザープロファイラーや目視検査は、製造速度に追いつけないことが大きなネックです。特に全自動化された工場では、一部工程の遅延が製造ラインの停止につながるほか、手直しやリコールが発生した場合に多大なコストがかかります。ステレオカメラによる検査は、誤判定率0.5%以下となっており、ほかの手法による検査を大きく下回っています。

Basler Stereo ace搭載外観検査装置:検査の効率化と精度向上に貢献

今回の外観検査装置には、Mindtrace社製AIとNeuroForge™に加え、一度の撮影で各部品の完全な3Dカラー画像を生成できるBasler Stereo aceが搭載されており、部品表面の形状・質感にかかわらず、欠陥を素早く正確に検出し、不良・手直しの発生や製造工程の遅延を効果的に低減できます。

Mindtrace社製外観検査装置による溶接ビードのインライン検査
Mindtrace社製外観検査装置による溶接ビードのインライン検査

迅速かつ全面的な品質管理

3Dレーザープロファイラーは、あらゆる表面形状・質感に対応しているわけではなく、しかもロボットの動作や部品の搬送速度によっては、レーザーの照射漏れが発生するおそれもあります。しかし、2台のカラーカメラから構成されるBasler Stereo aceなら、そのような心配はありません。今回の事例では、Basler Stereo aceを製造設備に直接取り付けたうえで、ロボットによって40秒ごとに搬送される車体部品を一括撮影するようにしました。なお、ポイントクラウドとカラー画像の生成はBasler Stereo ace、溶接ビードの識別・品質解析はMindtrace社製AI、全体的な統合・管理はMindtrace社製NeuroForge™ が行います。

そのうち、Mindtrace社製AIは指定した許容値に基づき、溶接ビードの欠陥(ビード切れ、ビード長さの過不足など)を検出したうえで、5秒以内に良否判定を行います。これにより検査効率が大幅に向上し、不良が発生した場合でも、サイクルタイムを維持したまま、代替部品の確認と投入ができるようになりました。

溶接ビードの高精度なポイントクラウドを生成できるBasler Stereo ace
溶接ビードの高精度なポイントクラウドを生成できるBasler Stereo ace

ステレオカメラによる正確な欠陥検出

Mindtrace社は、Baslerの技術サポートチームとイギリス販売代理店のOEM Automatic社にカメラの選定について相談したうえで、2台のBasler ace 2(5MP、GigE、カラー)から構成されるBasler Stereo ace(STA-100-547C-082609-W)を採用することに決定しました。このステレオカメラは、基線長100mm、撮影距離0.6~2m、深度解像度0.10~1.13mmに対応しており、pylon SDK を介して既存の製造環境に簡単に導入できます。

  • 優れた測定精度:工場出荷時の事前キャリブレーションに加え、動的セルフキャリブレーション機能を搭載

  • 信頼性:内蔵のパターンプロジェクターにより、環境光や標準LED照明下でも、各種表面形状・質感を正確に再現可能

  • 低レイテンシーサイクルタイムを短縮

  • 広視野角広被写界深度で車体部品を正確に検出

ステレオカメラは、2台の2Dカメラの速度と柔軟性を活かしながら、安全性に関わる溶接ビードの3Dデータを生成できるため、ロボット化されている自動車工場のインライン検査に最適です。
Mayank Sharma
Mayank Sharma
Mindtrace社VPoP(最高製品責任者)
高精度かつ高解像度の3Dデータをインラインで生成するBasler Stereo aceは、表面の反射性やコントラストにかかわらず、一度の撮影で溶接ビードを正確に測定することができます。
Jeremy Wurbs
Jeremy Wurbs
Mindtrace社CTO(最高技術責任者)

ステレオビジョンソリューションのメリットと今後の展望

溶接ビード検査における成功を受け、表面検査(キズ、凹みなど)をはじめ、奥行き情報が必要なその他の自動車関連検査においても、ステレオカメラを活用したソリューションの導入が検討されています。今回のステレオビジョンソリューションの主なメリットは、以下の通りです。

  • 目視検査の廃止による人件費の削減

  • 不良・手直し・リコールの低減

  • 初品品質の向上、製造の効率化

使用製品

Mindtrace社について


Mindtrace社(本社:イギリス・マンチェスター)は、スマートなものづくりを推進する産業用AIのパイオニア企業として、さまざまなグローバル企業と提携しながら、高度なデータ解析で現場の生産性向上に貢献するエンドツーエンドのコンピュータービジョンソリューションを提供しています。なかでも、同社のAIプラットフォームBrain-Sense™は、98%以上の検出精度を実現しており、コストを抑えながら、欠陥を大幅に低減することが可能です。

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