出荷物流の寸法測定と積載計算における3Dビジョンの活用
3Dカメラとロボットによるパレット積みの自動化・効率化
出荷物流において迅速な配送を実現するには、貨物の寸法を正確に測定したうえで、限られたスペースを有効利用しながら、パレットにムダなく積み付けなければなりません。以下では、ステレオカメラの寸法測定とTime-of-Flight(ToF)カメラの積載計算を組み合わせることで、ロボットによるパレット積みの自動化や、物流の効率性・安全性向上を実現する方法について解説します。

パレット積みの前工程:郵便番号による貨物仕分け
貨物の出荷ラベルに記載されているバーコードやQRコードには、郵便番号の情報が含まれており、配達先の地域を特定できるようになっています。一次元コード・二次元コード読み取りとOCR(文字認識)を同時に行うことが可能なビジョンシステムの構築方法については、活用事例「360度スキャンによる貨物仕分け」をご覧ください。
活用事例を読む精度重視のステレオカメラ&速度重視のToFカメラ
配送先の地域を特定した貨物は、保管エリアに送られた後、ステレオカメラによる寸法測定とToFカメラによる積載計算を行い、最適な積載位置を決定したうえで、専用の物流ロボットを使用して配送先ごとにパレットに積み付けられます。
倉庫管理や物流の現場では、今なお多くの作業が人間の手によって行われています。最先端のビジョンソリューションを導入し、細かな工程を自動化しながら、品質検査も同時に実施すれば、人的労力を大幅に削減できます。

ステレオカメラによるミリ単位の高精度な寸法測定
撮影距離150cmの位置に Stereo ace(STA-200-547M-082616-W) を設置して貨物の寸法を測定し、最適な積載位置を決定します。
その際、200ミリ秒以内の短時間で測定作業を完了するため、産業用コンピューターを使用して3Dデータを処理します。また、既存のCPU環境にGPUを追加すれば、処理速度をさらに向上させることも可能です。

高精度な把持・吸着位置検出による貨物の破損防止
Stereo aceの奥行き情報は、把持・吸着位置の検出にも役立ちます。ステレオカメラは、ほかの3Dカメラよりエッジ検出の精度が高いため、貨物の表面に凹凸がある場合でも、グリッパーや吸着パッドによって貨物を破損させる心配がありません。
しかも、ランダムドットプロジェクターを内蔵したStereo aceなら、撮影中にランダムなドットパターンを投影し、構造的特徴のない貨物に質感を追加することで、エッジ検出の精度を向上させることができます。
ロボットに3Dカメラを搭載することで、貨物の破損を防止しながら、安全な移動を実現するなど、コンピュータービジョン技術は、物流現場の精度・生産性・効率性の向上とコスト削減に大きく貢献しています。


ToFカメラによる効率的な積載計算
パレットの上部にBasler ToFカメラを設置し、パレットの空き状況をリアルタイムに把握したうえで、貨物の寸法と間隔を考慮しながら、最適な積み付け方法を計算します。これらの作業では、精度より効率性が重要になるため、Time-of-Flight方式を採用した Basler ToFカメラ(blaze-102) がおすすめです。
対応ロボットメーカー
Baslerビジョン製品は、各種ソフトウェアインターフェースを介して、幅広いロボットやグリッパーとシームレスに統合することができます。個別のご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
