活用事例

高速ガラスビン検査における口欠けの検出精度の向上

高度な光学設計で業界が抱える難題を解決

微細で目視が難しく、照明の向きによって隠れたり、ねじ切り部の反射光と混同されたりする可能性があるなど、ガラスビンの口欠けは、外観検査(AOI)による検出が非常に難しい欠陥です。以下では、高度な光学設計、マルチアングル照明、高速撮影を組み合わせることで、致命的欠陥である口欠けをインラインで正確に検出する方法について解説します。

  • 最終更新日: 2026/01/19

高速・広視野撮影とグレア(光沢)防止が求められるガラスビン検査
高速・広視野撮影とグレア(光沢)防止が求められるガラスビン検査

ガラスビンの口欠けの検出が難しい理由

ガラスビンの口欠けの検出が難しい理由として、口部の微細な構造と光学特性の複雑さが挙げられます。胴部や底部と異なり、口部は影が発生しやすく、ローアングルから光を照射しなければなりません。また、1分間当たり300本以上の検査速度が求められる場合、照明の明るさ・撮影角度・ビンの回転速度がわずかに変化しただけでも、口欠けを見逃すおそれが大きく高まるため、慎重な光学設計と正確な同期が求められます。ビンの種類や製造速度にかかわらず、一貫した検査精度を実現するには、高画素カメラ、マルチアングル照明、口部専用の画像解析アルゴリズムから構成される最先端の外観検査装置が必要になるのです。

ガラスビンの外観検査:石・異物・ひび割れ・気泡・欠け・キズと比べて、口欠けの検出は非常に困難
ガラスビンの外観検査:石・異物・ひび割れ・気泡・欠け・キズと比べて、口欠けの検出は非常に困難

口部構造と光学特性が口欠けの検出に及ぼす影響

ガラスビンの口部構造と光学特性は、口欠けの検出にさまざまな影響を及ぼします。

課題

口欠けの検出への影響

対策

低コントラスト

透明な口欠けが口部に溶け込む

ローアングルの暗視野照明と高画素のグローバルシャッターカメラにより、コントラストを向上

ねじ切り部の反射光

螺旋状の強い反射光と口欠けが混同される

マルチアングル照明とルールベースのマスク処理(またはAIベースの分類)により、ねじ切り部の反射光を抑えることで、誤判定を低減

継ぎ目線

継ぎ目線とひび割れ/口欠けが混同される

継ぎ目線の位置を特定して正確に分類

照明の向き

照明の向きによって口欠けが隠れる

複数のカメラ(3台)の運用と照明の交互配置により、最低でも1台のカメラで口欠けを検出

グレア

グレアによる白飛びで口欠けが隠れる

偏光板と拡散照明に加え、カメラに傾斜を追加

ガラスビンの口欠け検査向けビジョンソリューション

高いスループットを維持しながら、口欠けの検出精度を向上させるには、以下の3つのポイントが重要になります。

1. 複数のカメラによるグレアのない口部画像の取得

回転するガラスビンの周囲に3台のカメラを設置し、横方向から口部を撮影することで、グレアによる白飛び対策になります。

凸面鏡の役割を果たすガラスは、散乱光によって口部を隠してしまうことがありますが、複数のカメラで撮影を行えば、最低でも1台のカメラでグレアのない画像を取得できます。

Baslerの高画素グローバルシャッターカメラは、細部まで鮮明な撮像が可能であるため、ミクロンサイズの口欠けの検出にも最適です。

このほか、1分間当たり250~300本の高スループットで製造ライン全体を撮影する大型外観検査装置が求められる場合は、胴部・口部・底部の3か所に分けて、30台以上のカメラと複数の照明を設置するとよいでしょう。

その際、実際の検査内容によって、照明のトリガー方式(個別トリガー/一括トリガー)の変更や、カメラI/Oの調整を行えば、少ない労力で光の照射タイミングを合わせられます。

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2. 特殊な照明配置による口部の高コントラスト撮影

マルチアングルの暗視野照明(リングライト/ドームライト)は、コントラストを向上させながら、ねじ切り部の反射光を抑えられるため、口欠けの撮影に最適です。

また、バックライトを使用した暗視野撮影に加え、エンコーダー式ストロボ制御により、フラッシュ照射中にビンが回転しないようにすれば、高速検査においても輪郭のくっきりした高コントラスト画像を取得できます。

ガラスビンの背部から光を均一に照射するバックライト:細かな輪郭や形状を捉えた高コントラスト画像を取得可能
ガラスビンの背部から光を均一に照射するバックライト:細かな輪郭や形状を捉えた高コントラスト画像を取得可能

3. 機械的安定性と高速撮影の両立

ガラスビンの口部を鮮明に可視化するには、機器の確実な据え付け、振動の低減、撮影距離の固定(150~300mm)が必要になります。

数ミクロンの大きさしかない口欠けは、わずかな振動でもブレてしまうため、正確な検出には機械的安定性の確保が欠かせません。

また、均一な照明を実現するなら、工場の環境光を遮るトンネル型ドームライトを採用するとよいでしょう。

口欠け検査は、特殊な照明配置を必要とする非常に難易度の高い作業であり、継ぎ目線とひび割れの混同、グレアによる白飛び、ビンの色(透明、茶色、緑色)によるコントラスト変化といったお悩みもよくお聞きします。照明配置を工夫したうえで、グローバルシャッターカメラを同期して撮影タイミングを合わせれば、口欠けなど検出が難しい欠陥が可視化されるだけでなく、製造ライン全体の欠陥分類の安定性も大幅に向上します。
Benjamin Park
Benjamin Park
光学ソリューション部長 | Basler APAC R&D

まとめ

透明性、微細な口部構造、グレアの発生、厳しい照明条件など、外観検査の中でも特に難易度が高いガラスビンの口欠け検査。口欠けを正確に検出するには、以下の点に注意しながら、装置開発を進める必要があります。

  • 複数のカメラによるグレアのない口部画像の撮影

  • 暗視野照明と拡散照明の適切な配置

  • AIアルゴリズムとルールベースアルゴリズムを組み合わせたハイブリッド画像処理

  • 安定性を重視した機械設計

上記を総合的に考慮したうえで、 ビンの種類や製造速度にかかわらず、優れた性能・低い誤判定率・一貫した検出精度を誇る最先端の外観検査装置を開発すれば、製品の安全性向上と製造ラインの安定化につながるでしょう。

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