活用事例

プローブカードの品質管理におけるマシンビジョンの活用

ウエハーの導通検査に使用されるプローブカード。その品質管理の工程では、プローブピン(プローブ針、プローブニードル)の欠陥を正確に検出するため、ミクロン単位の分解能と安定した撮像が求められます。以下では、高性能なカメラ、独自の光学設計、内蔵型のオートフォーカス(AF)機能、柔軟な画像処理・解析により、プローブカードの一貫した信頼性と長期にわたる安定性を実現する方法について解説します。

ウエハーの導通検査向けに多数のプローブピンが配列されている垂直型プローブカード
ウエハーの導通検査向けに多数のプローブピンが配列されている垂直型プローブカード

プローブカードの品質要件の厳格化

プローブカードは、基板上に多数のプローブピンが配列された構造をしており、ピンの先端にわずかな汚れ・曲がり・摩耗が存在するだけでも、ウエハーの導通検査の精度やスループットの低下につながります。しかも、半導体パッケージのマルチダイ化、パンプの狭ピッチ化に伴い、KGD(Known Good Die)の選別作業を中心に、プローブカードの品質要件はますます厳しくなっています。

特にMEMS型プローブカードや垂直型プローブカードの品質管理では、基板の面積やピンの反射性にかかわらず、ミクロン単位の分解能と高いスループットを実現しながら、ピンの先端の汚れ・酸化・曲がりを正確に検出しなければなりません。そこでBaslerでは、独自の光学設計、AF機能、高度な画像処理・解析ツールを組み合わせることで、365日24時間体制で撮影を行いながら、プローブカードの品質管理に必要な情報を確実に収集できるソリューションを開発しました。

プローブカードの品質管理における課題と対策

プローブカードの品質管理において、サブミクロン単位の分解能が求められる3D外観検査(ピンの高さ測定)と、数ミクロンの誤差が許容される2D外観検査(ピンの間隔・配置測定)
プローブカードの品質管理において、サブミクロン単位の分解能が求められる3D撮影(ピンの高さ測定)と、数ミクロンの誤差が許容される2D撮影(ピンの間隔・配置測定)

2D外観検査と3D外観検査の許容誤差の違い

プローブカードの品質管理では、2D外観検査と3D外観検査で許容誤差が異なります。ピンの高さを測定する3D外観検査は、サブミクロン単位の分解能が求められます。これは、ピンの先端が同一平面上にないと、ピンがウエハーを押し込むオーバードライブが発生するおそれがあるためです。

一方、ピンの間隔・配置を測定する2D外観検査は、数ミクロンの誤差が許容されるため、分解能よりも、ピンの反射性・レンズ収差・撮影条件にかかわらず、撮像の安定性と一貫性を確保することが重要になります。

ウエハーの導通検査の精度を左右するプローブピンの欠陥(汚れ・酸化・摩耗・亀裂・曲がりなど)
ウエハーの導通検査の精度を左右するプローブピンの欠陥(汚れ・酸化・摩耗・亀裂・曲がりなど)

光学設計の重要性

プローブカードのピン(ピン間隔25µm以下の場合)の材質がタングステンや金めっきを施したタングステンであるのに対し、基板には銅合金やアルミ合金が使用されています。このような材質の違いは、撮影時のコントラストに大きく影響します。金属特有の鈍い光沢を持つタングステン、反射性の高い金めっき/ニッケルめっき、同軸照明を使用すると黒つぶれが発生する銅合金を同時に撮影する場合、従来の明視野照明では汚れやキズ、プローブマークが光の反射によって隠れてしまうおそれがあります。

上記の課題を解決するには、光学設計を工夫して信号とノイズを分離するとよいでしょう。平滑面の撮影に適した同軸照明、エッジの強調や汚れの検出が可能な暗視野照明、反射を抑えて均一なコントラストを実現する拡散板に加え、高倍率のテレセントリックレンズと歪曲収差補正アルゴリズムを組み合わせれば、画像歪みを防止しながら、ミクロン単位の測定精度を実現できます。

光学設計に関するご相談はこちら
ウエハーの導通検査に使用されるプローブピン
ウエハーの導通検査に使用されるプローブピン

AF機能による鮮明な画像の取得

大型プローブカードの外観検査では、ピンの高さの違いや基板の反りにより、一部のピンが焦点範囲から外れてしまうおそれがあります。このような場合、たとえ光学設計を工夫しても画像がブレてしまい、正確な測定ができません。プローブピンの先端を鮮明に捉えるには、撮影中にピントを調整する高速AF機能を導入するとよいでしょう。Baslerでは、検査速度を維持しながら、一貫した画質を確保するため、各種メーカーの液体レンズとレーザーAFを組み合わせた 統合型オートフォーカスソリューション をご提供しています。


pylon画像処理ツール(測定ツール)のチュートリアル

画像解析による情報収集

光学設計とAF機能により鮮明な画像を撮影した後は、画像解析による情報収集が必要になります。

主な画像解析には、汚れ・異物を検出する ブロブ解析 、幅・間隔を測定するサブピクセルエッジ検出、形状・密度を確認する 測定 、汚れと酸化を識別する質感解析などがあります。

Baslerでは、コンピューター上でこれらの画像解析を行うツールとして、pylon画像処理ツール/pylon AI画像解析ツールをご提供しています。このほか、高速撮影を行う場合や複数のカメラを運用する場合は、VisualAppletsフレームグラバー を追加し、FPGA上でリアルタイムに処理を行うことでCPU負荷を軽減するなど、システム全体の性能・柔軟性・セットアップ性にも配慮しています。


Baslerカメラの安定した性能とロット差の少なさは、プローブカードの品質管理において高い評価をいただいています。しかし、半導体検査の高度化が進むなか、ビジョン製品以外へのニーズも高まっています。Baslerでは、コンピュータービジョン業界の頼れるパートナーとして、お客様のご要望を聞き取ったうえで、画像処理と光学設計に関する豊富な技術・ノウハウを活かし、幅広い撮影要件に対応したソリューションをご提案しています。
Niken Lai
プロダクトマーケットマネージャー

プローブカードの品質管理における情報収集

プローブカードの品質管理において、ピンの反射性にかかわらず、信頼性の高い情報を収集するには、優れた解像度だけでなく、安定した撮像、歪みのない測定、高度な画像解析も必要になります。

プローブカードの品質管理に関するお問い合わせはこちら


Baslerビジョンソリューションのメリット

  • 高性能:ロット差が少ないため、365日24時間体制で行われるプローブカードの品質管理においても、複数のカメラを安定して運用可能

  • 高画質:高解像度・低ノイズと一貫した色忠実性・応答性により、カメラの設定調整にかかる労力を軽減しながら、正確な欠陥検出を実現

  • 充実のサービス:ビジョン製品の提供に加え、光学設計に関するコンサルティング、AF機能の実装、アルゴリズムのカスタマイズも行うなど幅広いご要望に柔軟に対応


使用製品

‍‍ご紹介したソリューションの導入には、以下‍の製品が最適です。

お問い合わせ

Baslerの製品・サービスに関してご不明点がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。