半導体パッケージング&プリント基板実装向けBGA検査ソリューション
独自の画像補正機能により、高速・高精度の検査を実現
BGA(ボールグリッドアレイ)技術は、狭い面積に多くのI/O端子を配置できるため、半導体パッケージングやプリント基板実装(PCBA)に広く採用されています。BGA検査では、BGAとプリント基板(PCB)を確実に接合するため、基板接合前にはんだボールの品質(完全性、真円度、均一性)と配置、基板接合後にはんだ付けの状態と位置を確認します。

半導体パッケージングとプリント基板実装におけるBGA検査の役割
IC(集積回路)チップの複雑化とI/O要件の厳格化に伴い、 DIP(Dual In-line Package)からQFP(Quad Flat Package)やQFN(Quad Flat No-lead Package)への移行が進むなか、民生用電子機器(スマートフォン、タブレット、マザーボード、デジタルカメラなど)を中心に、はんだボールを基板の底面に格子状に配置したBGAパッケージが導入されるようになりました。 従来のパッケージと比較した場合、BGAパッケージは同じ面積により多くのI/O端子を配置できるだけでなく、配線距離も短いため、信号品質と全体的な性能が向上します。

半導体パッケージングのBGA検査では、製品出荷前の最終工程でBGAと基板を接合するため、歩留まりの低下防止を目的として、はんだボールの欠落や寸法・平面度を確認します。一方、表面実装(SMT)を行うプリント基板実装のBGA検査では、リフロー工程でBGAと基板を接合するため、製品の故障防止を目的として、パッケージ底面の隠れた欠陥(ボイド、枕不良、オープンなど)を検出します。
BGAパッケージには、小型パッケージ(5×5mm)のほか、数千のはんだボールが配置されたFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)パッケージ(50×50mm)もあり、その大きさに応じて数百ミクロンから数十ミクロンの検査精度が求められます。
BGA検査の4大課題と対策
BGA検査では、パッケージ全体の構造を可視化するため、複数の撮影手法を組み合わせなければなりません。具体的には、はんだボールの間隔・配置・過不足を確認する2D外観検査、はんだボールの高さ・平面度を測定する3D外観検査、そして隠れた欠陥(ボイド、枕不良、オープンなど)を検出するX線検査などがあります。

はんだボールの品質検査
BGA検査では、まず不良のあるはんだボールを検出するため、ボールの欠落、寸法誤差、残留物、位置ずれなどを確認します。従来の外観検査装置の場合、画素数0.3 MPの産業用カメラがあれば、基本的な検査には十分でした。しかし、はんだボールの狭ピッチ化と精度要件の厳格化に伴い、感度の向上と誤判定の低減を図るため、カメラの必要画素数が0.3MPから5MP、 5MPから20MP以上へと徐々に上がっています。
また、はんだボールを撮影した後は、画像処理ソフトウェアを使用して特徴抽出、分類、二値化、セグメンテーションを行う必要もあります。Baslerでは、形状特徴(ボールの真円度など)、面積(はんだ過多/はんだ不足によるボールの寸法誤差)などを解析するツールとして、pylon画像処理ツール/pylon AI画像解析ツールをご提供しています。
一貫した画質の確保と正確なボール配置
BGA検査では、反射面に左右されない鮮明な撮像に加え、はんだボールの正確な位置特定も欠かせません。特にボール間隔0.5mm以下のBGAの場合、わずかな撮像不良やピントのずれが測定精度に大きな影響を与えます。Baslerでは、カメラまたはフレームグラバー上のFPGA処理により、上流側でHDR(ハイダイナミックレンジ)、ブロブ解析、中心検出、焦点合成などの画質・歪み補正を行うことで、高密度BGAの高速検査に求められる各種要件(高コントラスト撮影、高精度な特徴マッピング、信頼性の高い測定など)に対応しています。

3D外観検査による高さと平面度の測定
BGA検査では、個別のはんだボールの品質確保に加え、ボールの間隔・位置・過不足の確認も非常に重要です。しかし、2D外観検査のみでは、ボールの浮き、高さの違い、基板の反りなど長期的な信頼性に影響する欠陥を検出できないため、3D外観検査を組み合わせる必要があります。現在は構造化光 (パターン投影)が一般的に導入されており、高さ情報を含む3D画像を生成したうえで、高度なアルゴリズムを介して高さの違いや製造誤差、基板の反りを解析することで、製造ラインの速度を落とすことなく、不良のあるはんだボールを検出しています。このほか、さらなる精度が求められる検査用途では、レーザー三角測量も広く採用されています。

接続の安定性と処理の信頼性
BGAパッケージ向けの外観検査装置は、接続の中断や処理の遅延が発生すると、秒単位のサイクルタイムで稼働する製造ラインに大きな影響を与えるおそれがあるため、高スループットの維持と長期にわたる安定した動作が求められます。
Baslerビジョンソリューションでは、産業グレードのカメラ、信頼性の高い通信プロトコル、FPGAによる前処理、CoaXPress、GigE Visionなどのインターフェースを組み合わせることで、データ転送速度とスループットの低下を防止しながら、過酷な環境下でも安定した動作を保証しています。
特に、FPGA処理によるホスト側のCPU負荷の軽減とシンプルなシステム構成は、一貫した画質と測定精度を長期にわたって維持することにつながっています。半導体パッケージングやプリント基板実装向けの高速製造ラインにおいて、必要な信頼性を確保するには、このような 安定した接続とハードウェアアクセラレーションが欠かせません。
オンボードの前処理により、BGA検査装置の全体的な性能と安定性が向上したケースは少なくありません。本活用事例でご紹介した機能に加え、フラットフィールド補正 (FFC)、ノイズ除去、その他フィルター処理も非常に有用です。これらの機能をカメラやフレームグラバーに実装し、処理負荷を抑えながら、一貫した画質を実現すれば、検査のさらなる効率化につながるでしょう。

高速・高精度のBGA検査を支える技術
解像度: 高画素カメラ(画素数5~20MP以上)とpylon画像処理ツール/pylon AI画像解析ツールを組み合わせ、シームレスな特徴抽出とはんだボールの正確な測定を実現
一貫性:ロット差を抑えた安定した撮像により、画像解析の精度を向上させながら、誤判定を低減
信頼性:産業用インターフェースとFPGA処理を採用することで、高い検査速度を維持
使用製品
ご紹介したソリューションの導入には、以下の製品が最適です。





