センサー技術

YUV色空間の仕組み

1つの輝度成分(Y)と2つの色成分(U、V)から構成されるYUV色空間は、色の変化より明るさの変化に敏感な人間の視覚特性を利用し、少ないデータ量で画質を維持できることから、画像を効率的に処理・保存したい場合に適しています。

RGB値の算出

YUVデータを生成するには、事前にセンサーの生データからRGB値を算出しておく必要があります。

ベイヤー配列

CCDセンサーCMOSセンサー上に配置されている画素は、入射光の光量しか記録しないため、赤・青・緑の色情報を取得するには、カラーフィルターが欠かせません。

その際、人間の目は緑を強く感じるため、一般的に使用されているベイヤー配列では、赤1、青1、緑2の比率でフィルターを配置したうえで、周辺画素から情報を補間しながら、RGB値を取得する仕組みになっています。

ベイヤー配列
ベイヤー配列における色フィルターの配置図

RGB変換

RGB変換では、専用のアルゴリズムを使用して各画素のRGB値を算出します。もちろん、緑のフィルターからは緑の色情報しか得られませんが、周辺にある赤と青の画素に基づいて補間処理を行えば、3色すべての情報を生成することができます。なお、処理の時間・精度、色忠実性(現実世界の色との違い)は、アルゴリズムの種類によって異なります。

一方、RGB変換にはデメリットもあり、変換前に1ピクセル当たり8ビットであったデータ量が、変換後は赤・青・緑の色情報が加わることで、1ピクセル当たり24ビットにまで増大してしまいます。

YUV変換

RGBデータをYUVデータへ変換すると、輝度を示すY値と色差を示すU値、V値が生成されます。

YUV 4:4:4

RGBデータからYUVデータへの変換は、線形変換であるため、データロスがなく、カメラなどのハードウェアの影響も受けません。一般的な変換式は、以下の通りです。

Y=0.299 R+0.587 G+0.114 B

U=0.493×(B-Y)

V=0.877×(R-Y)

上記の変換式の係数は、センサーのダイナミックレンジによって多少異なります。各カメラモデルの仕様については、製品ドキュメントをご覧ください。

なお、信号に含まれるY値、U値、V値の比率が4:4:4になることから、この変換形式は「YUV 4:4:4」と呼ばれることもあります。

Baslerカラーカメラの変換処理
カラーカメラのYUV変換

YUV 4:2:2

YUV 4:4:4以外の変換形式として、2ピクセルごとに色情報を読み取ることで、1ピクセル当たりのデータ量を24ビットから16ビットに削減する「YUV 4:2:2」も非常に一般的です。人間の目は色の変化に鈍感で、色情報が減少しても画質に大きな変化はありませんが、それでもデータロスは発生するため、注意が必要です。

Baslerカラーカメラには、高度な変換アルゴリズムが内蔵されており、センサーの生データ、高画質のYUV 4:2:2データはもちろん、一部モデルはRGBデータ、BGRデータの出力にも対応しています。なお、YUV 4:2:2データのビット深度は8~24ビット(平均16ビット)となります。

詳細情報

Baslerカメラの詳細や画像形式については、製品ドキュメントをご覧ください。

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