HDRラインスキャンソリューション

ダイナミックレンジの拡張により、画像の明暗部の諧調を正確に表現

ラインスキャンカメラは、フルダイナミックレンジによる撮影が難しいため、画像の明暗部の階調が正確に表現できず、画像データの一部情報が失われるおそれがあります。以下では、ラインスキャンカメラのracer 2 L、プログラマブルフレームグラバーのimaFlex、専用のHDRアプレットを組み合わせることで、ラインスキャン撮影における明暗差を解消する方法について解説します。

(上)白飛びがあるSDR画像(中央)黒つぶれがあるSDR画像(下)約100dBの広ダイナミックレンジにより明暗部の階調を正確に表現したHDR画像
(上)白飛びがあるSDR画像(中央)黒つぶれがあるSDR画像(下)約100dBの広ダイナミックレンジにより明暗部の階調を正確に表現したHDR画像

ラインスキャンシステムにHDR機能を導入するメリット

画像の明暗部の階調を正確に表現するHDR(ハイダイナミックレンジ)機能は、光沢物や反射物の検査に最適です。特にラインスキャンシステムにHDR機能を導入すれば、以下のようなメリットが期待できます。

  • 明部の白飛びの低減

  • 暗部の黒つぶれの低減

  • ダイナミックレンジの拡張により、高精度な欠陥検出と品質管理を実現

  • 照明不足・照明過多による予期せぬ撮像不良を防止することで、画像処理を効率化

ラインスキャンシステムによるHDR画像生成

プラグアンドプレイ対応のpylon Software Suiteを活用すれば、カメラ側でHDR画像を生成し、ホスト側に転送できます。一般的な撮影の場合は、シンプルなアルゴリズムのみで十分な画質を実現できます。

しかし、光沢物・反射物を撮影する場合は、フレームグラバー上で高度なアルゴリズムを運用し、HDR画像を生成するとよいでしょう。

HDRラインスキャンシステムで生成したHDR画像とラインスキャンカメラのみで生成したHDR画像
(左)HDRラインスキャンシステムで生成した画像処理・解析向けHDR画像(右)ラインスキャンカメラのみで生成したHDR画像

フレームグラバーによるHDR画像生成


racer 2 L (4ライン構成)を使用して撮影を行った後、 imaFlex 上のHDRアプレットを介してHDR画像を生成し、ホスト側に転送します。

フレームグラバーによる高画質HDR画像の生成

フレームグラバーによるHDR画像生成のメリット

  • HDRアプレットに最適化済みのHDRアルゴリズムを実装(必要に応じてアルゴリズムを変更可能)

  • 情報量の多い画像データによる高精度な撮像を実現

  • ホスト側に転送するデータ容量を最大4分の1に削減することで、後処理や欠陥検出に回すCPUリソースを最大化

  • 必要に応じてライン構成の変更(2ライン/4ライン)や追加の画像補正が可能であるなど、HDR撮影における画質とラインレートの柔軟な調整に対応

製品・サービスに関するご不明点やご相談等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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HDRラインスキャンシステムの用途

ラインスキャンカメラ、プログラマブルフレームグラバー、HDRアプレットから構成されるHDRラインスキャンシステムは、光沢物・反射物など明暗差の大きい物体の撮影に最適です。

バッテリー検査

バッテリー検査

バッテリー検査では、銅箔の上にペースト状の黒色リチウムが塗装されるため、撮影時の明暗差の解消が大きな課題となります。

太陽電池モジュール検査

太陽電池モジュール検査

太陽電池モジュール検査では、反射性の高いガラスや金属が使用されているモジュールに対し、情報ロスのない正確な撮像が求められます。

ディスプレイ検査

ディスプレイ検査

ディスプレイ検査では、明部を強調したテスト画像と暗部を強調したテスト画像が使用されるため、フルダイナミックレンジによる撮影が必要不可欠です。

HDRラインスキャンシステムの特長:ダイナミックレンジの拡張による画質向上

画像の明暗部の階調を正確に表現することで、照明条件の厳しい高度な撮影用途にも対応できるHDRラインスキャンシステム。その主な特長は、以下の通りです。

画像の明暗部の諧調の正確な表現

ダイナミックレンジを拡張することで、反射性の高い金属部品や影になっている部分を含め、画像の明暗部を正確に表現します。


高精度な物体認識・分類

広いダイナミックレンジにより対象物の明暗部を可視化し、物体認識の精度とシステムの信頼性を向上します。


画像補正によるノイズ低減と画質向上

露光時間を最適に調整しながら、暗部を中心に画像ノイズを最小限に抑えることで、ソフトウェアによる画像解析の精度を向上します。


製造工程の効率化と信頼性向上

HDR画像を活用して製造工程を自動化することで、不良・手直しの低減とサイクルタイムの短縮に貢献します。

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