金属箔検査におけるラインスキャンカメラとフレームグラバーの活用
40,000ライン/秒の速度による不具合画像の分類・分析を実現
- 顧客
- R.A.M. GmbH
- 所在地
- ドイツ
- 日付
- 2018年
検査システムの仕組み
今回の検査システムでは、製造ライン上にCoaXPress対応の高画素ラインスキャンカメラを設置し、高速で動く金属箔シートのグレースケール画像(8ビット)を撮影した後、画像内のピクセルを256諧調に分けて解析します。その際、輝度の閾値を設定し、輝度が高い(明るい)部分と輝度が低い(暗い)部分を欠陥として検出するとともに、CPUのリソースを節約するため、画像全体ではなく、欠陥箇所のデータのみを転送するようにしました。
金属箔シートのウェブ検査では、表面と裏面を撮影しながら、50mm~10mの視野幅で欠陥を検出します。一般的に必要なカメラ画素数は8K(8192画素)ですが、今回のシステムでは5台の16K対応カメラを接続し、40,000ライン/秒の高速検査を実現しました。なお、カメラの接続台数は、要件に応じて調整可能です。照明には蛍光タイプとLEDタイプの2種類があり、透過照明、明視野照明、暗視野照明、反射照明として使用できます。
高速・高解像度撮影を可能にするフレームグラバー
R.A.M.社では、自社製検査システムの速度・解像度・画質の向上を目的として、ラインスキャンカメラを従来の2K対応モデルからCMOSセンサー搭載の高画素モデルに変更し、さらにフレームグラバーも刷新しました。CPU負荷を軽減するため、フレームグラバーには、画像の前処理を行うFPGAが搭載されています。
ラインスキャンカメラは4K、8K、16Kの画素数に対応しており、8K対応モデル1台で、一般的な金属箔に見られる0.2mmまでの欠陥を検知することができます。しかも、高度な画像処理が求められる場合は、イーサネットを介してフレームグラバーと複数のカメラを接続し、運用することも可能です。
VisualAppletsを使用したソフトウェアソリューション
画像処理の工程では、センサー補正によりピクセルを正しい順番に並び替えたり、欠陥の計数・分類を行ったりする必要がありますが、そのための専用アプリケーションの作成には、FPGA画像処理開発環境VisualAppletsが使用されました。
外観不良については、斑点/ゲル、焦げ、フィッシュアイ、不純物、巻き込み、重なりなど種類ごとに分けられた後、記号付きで画面に表示されます。もちろん、欠陥箇所の詳しい解析に必要なグレースケール画像も利用可能です。
主な特長
カメラの露光時間を25マイクロ秒に抑えることで、データ処理を効率化
FPGA画像処理開発環境VisualAppletsにより、フレームグラバー向けの専用アプリケーションをスムーズに開発
FPGA上で事前にデータを解析するため、余計なCPU負荷がかからず、フレームグラバーの性能が向上
ソフトウェアのみの変更やビジョンシステムの更新にも迅速に対応
VisualAppletsに関する事前知識があれば、小規模な研修のみでプログラミングが可能
使用製品
ご紹介したソリューションの導入には、以下の製品が最適です。