セメント製造におけるAIビジョンシステムの活用
- 顧客
- Titan Cement Group
- 日付
- 2022
概要
複数の工程から成るセメント製造は、高度な技術が要求されるだけでなく、さまざまな品質管理上のリスクも存在しています。例えば、高速で稼働する製造ラインが停止すれば、全体の生産効率の低下につながり、不良品が出れば、回収や補償のために多大なコストがかかります。さらに、化学製品であるセメントは、ラベル表示を含めてさまざまな法令や環境要件の遵守が求められるなど、製造から出荷に至るまでコンプライアンスに注意を払わなければなりません。
課題
欧州屈指のセメントメーカーとして知られるTitan Cement社。同社では、セメントの品質を確保するため、検査員を3つのシフトに分けて製造ラインに配置し、24時間体制で目視による検査を行っています。これをビジョンシステムで代替する場合、ベルトコンベヤー上を高速で移動するセメント袋を撮影しながら、外観上の欠陥(割れ、漏れ、凹み、裂け、端折れ、印刷不良など)をリアルタイムに検出しなければなりません。しかも、明るさが一定でなく、粉塵や振動も多いというセメント工場特有の過酷な環境に耐えることも求められました。
ソリューション
今回のビジョンシステムには、外観検査用のBasler ace 2 USB 3.0対応モデル(カラー)と印刷検査用のace 2 GigE対応モデル(モノクロ)の2種類のカメラが搭載されており、24時間体制で品質管理を行うことができます。カメラは丈夫なブラケットで製造ラインに取り付けられており、光電センサーでトリガーを行うことで、ベルトコンベヤーに接している面を除き、セメント袋の上面・側面の計5面を同時に撮影します。撮像性能を最大限に引き出すため、レンズにはBaslerレンズを採用。工場内の振動や粉塵、湿気からカメラとレンズを守るため、IP66/IP67対応のコンパクトなカスタムケースも追加しました。また、エッジAI対応のビジョンシステムとして、カメラ側にプロセッサーを配置しています。ソフトウェアについては、AIビジョンシステムに特化しながら、エンドツーエンドのデプロイメントを実現するIrida Labs社製PerCV.aiを採用しました。
メリット
エッジ処理によりレイテンシーを低減
カメラとソフトウェアをスムーズに接続
カメラの撮像性能を最大限に引き出すレンズ
ビジョンソリューションガイド、レンズセレクター、ビジョンシステムコンフィギュレーターなど、ハードウェアの選定に便利なオンラインツールも充実
産業用ソフトウェアのIrida Labs社製PerCV.aiを採用することで、ターンキーソリューションとして高い付加価値を提供
豊富な知識を持つスタッフがシステム導入を全面サポート
パートナー企業:Irida Labs S.A.
包装材の検査・品質管理向けにエンベデッドビジョンシステム/デジタルツインの設計、AIビジョンセンサー/エッジハードウェアの選定、AIモデルの開発を請け負うなど、拡張性の高いAIビジョンソリューションを提供しているソフトウェア企業です。
使用製品
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