EMVA 1288規格
そこで登場したのが欧州マシンビジョン協会(EMVA)によって制定されたEMVA 1288規格です。この規格は画質に関する各種仕様を統一するとともに、測定方法や表示方法についても規定しています。規格の制定以来、Baslerは同協会の一員としてそのさらなる発展に積極的に貢献してきました。
カメラや画質を評価するための複雑な測定を自社でする必要がなく、しかも異なるメーカーのカメラを簡単に比較できるなど、EMVA 1288規格にはさまざまなメリットがあります。
EMVA 1288規格リリース3.1
デジタルイメージセンサーの急速な進化に合わせて、EMVA 1288規格も定期的に見直されています。リリース3.1は、協会がプロセスを継続的に改善し、最新の技術を反映させて完成したものです。このリリースのすべてのメリットが得られるようにするため、Baslerでは、EMVAの改訂に合わせて測定方法や試験報告書を更新していく予定です。
主な更新内容
1)EMVA報告書を標準化
新しいリリースでは、測定方法以外に、測定結果の表示方法に関する規定が追加されており、標準化されたサマリーページを有する仕様書のテンプレートが提供されています。サマリーページでは、以下の重要なデータが一目で確認できます。
[1]カメラの測定場所の状況
[2a]カメラの直線性が確保されていること、EMVA 1288の測定が可能であることを示す光子伝達グラフ
[2b]限界感度、飽和容量、最大SN比、ダイナミックレンズを確認することが可能な信号対雑音比(SN比)グラフ。
[3]EMVA 1288の主な測定値のリスト。
リリース3.1の報告書では、1台のカメラの測定結果を表示する形式を採用しており、データをわかりやすく整理していることが大きな特長となっています。
Baslerでは、今後とも製造過程においてEMVA 1288データを収集し、高い品質基準を維持していきます。試験報告書に記載する詳細なデータは、独立した試験施設で測定する予定です。
2)波長別の量子効率の推移を表示
カメラ選びの際には、特定の波長における量子効率(QE)を確認することが必要不可欠になります。実際の用途で使用する照明が緑色、赤色または近赤外線なのかによって、イメージセンサーの量子効率は変化します。
EMVA1288規格では、指定した波長に対する量子効率の測定のみを義務付けており、試験の技術要件が厳しい場合に量子効率の推移を測定するかどうかはメーカーの自由です。
しかし、Baslerでは、量子効率の推移を付加価値のあるデータと考えており、量子効率の各種測定値を提供することにより、最適なカメラをお選びいただけるようにしています。
3)試験環境を刷新
Baslerでは、リリース3.1の改訂に合わせて試験環境を刷新しました。キャリブレーションは、認可を受けたフォトダイオードを基準に行い、標準許容誤差を3~5%としています。また、一次測定の測定点についても、545nmから541nmに変更しているため、リリース3.1の測定結果と過去の報告書の測定結果を直接比較することはできません。