感度、ダイナミックレンジ
実際の条件にもよりますが、蛍光反応は一般的に非常に弱いものです。そのため、画質を考慮する前に、まずはシステム自体に蛍光反応を検出できるだけの感度があるかを確認しなければなりません。感度とは、言い換えれば、ノイズと信号を区別するために必要な最低限の光量です。ここで重要となる指標として、光源から照射された光が電荷に変換される比率を示す「量子効率(QE)」が挙げられます。量子効率は光の波長によって変わるため、その数値を最大化するには、使用する蛍光物質の波長を感知できるセンサーが必要になります。量子効率が高いほど入射光量は増加し、露光時間の短縮や蛍光物質のフォトブリーチングの防止、間接的な撮影速度の向上につながります。
また、露光時により多くの光を受け取ることも非常に重要です。これに関係する指標として、1つのピクセルが1回の露光で変換できる電荷量の上限を示す「飽和容量」があります。飽和容量が高いと受け取れる光の量が増えるため、必要な露光回数が減ります。
一方、本来の信号を取得するために必要な電荷量の最大値と最小値の比率(詳しくは次のセクションの「読み出しノイズ」を参照)を示したものが「ダイナミックレンジ」で、これによりカメラの光検出性能がわかります。
最後に「絶対感度閾値」ですが、これは「信号対ノイズ比(SN比)=1」、つまり信号とノイズが同じになる場合の光子の数を示し、数値が低いほど、本来の信号の取得に必要な光量が少なく済みます。なお、ピクセルサイズは考慮に入れていないため、ピクセルサイズの異なるカメラの比較には直接使用できません。