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CoaXPress (CXP)とはー他のインターフェースとの比較

高速インターフェース規格CoaXPress

CoaXPressは、6社の産業用画像処理関連企業が大量データの高速・長距離転送を実現するために策定したインターフェース規格です。Messe Stuttgart Internationalにて開催された国際展示会「VISION 2008」で初めて発表された後、3年の策定期間を経て2011年にCoaXPress 1.0として正式にリリースされ、産業用画像処理業界に広まりました。また、2021年にはCoaXPress 2.0も登場しています。

1チャンネル当たりのデータ転送速度を見ると、CoaXPress 1.0/1.1が6.25Gbpsであるのに対し、CoaXPress 2.0はその倍の12.5Gbpsまで向上しています。

CoaXPressの主な用途

CoaXPressの代表的な用途:自動光学検査のイメージ
CoaXPressの代表的な用途:自動光学検査

他の規格と比較した場合、CoaXPressはデータ転送速度だけでなく、転送距離も突出しており、カメラとコンピューターが離れていても使用できることから、高度な画像処理を必要とする多くの用途に導入されています。

特に人気が高いのが半導体業界で、高解像度の画像データをリアルタイムに転送することが求められる3D自動光学検査のほか、印刷検査や食品検査、高度道路交通システム(ITS)、さらには医療用途にもその活躍の幅を広げています。

CoaXPressとGigE、USB 3.0の違い

一般的なUSB 3.0やGigEとCoaXPressを比較すると、実に多くの違いがあります。

その派生規格であるUSB3 Visionが産業用画像処理向けインターフェースとして高い信頼を得ているUSB 3.0は、民生用途にも広く普及しており 、多くのノートパソコン、デスクトップパソコン、さらにはタブレットやスマートフォンにも搭載されています。

一方、GigEは2006年から産業用画像処理業界において存在感を示し始めた規格で、現在は産業用デジタルカメラに最も多く採用されています。

USB 3.0とGigEには、コンピューターに別途ハードウェアを取り付ける必要がないというメリットがあります。これは、データ転送を行うために対応するインターフェースカードを用意しなければならないCoaXPressとは大きく異なる点です。CoaXPressは、USB 3.0やGigEのようにコンピューターに標準搭載されていることはありませんが、インターフェースカードを介することにより、CPUに負荷をかけることなく、大量の画像データを高速で転送できます。

CoaXPressインターフェースカードデータを使用し転送を行う際のイメージ
CoaXPressを通じてコンピューターにデータを転送するには、対応するインターフェースカードが必要

CoaXPress 2.0への移行

各インターフェースの違いを理解したところで、次にCoaXPress 2.0について詳しく見ていきます。CoaXPress 2.0は、CoaXPress 1.0/1.1の2倍に相当する1チャンネル当たり12.5Gbpsのデータ転送速度を誇ります。

そのため、USB 3.0やGigEからCoaXPress 2.0へ移行することで、以下の表に示すさまざまなメリットが得られます。

CoaXPressとCamera Linkの比較イメージ

ケーブル長はケーブルの品質・種類によって異なります

インターフェースカードとフレームグラバーの違い

CoaXPress対応カメラとコンピューターを接続するハードウェアには、インターフェースカードフレームグラバーの2種類があり、それぞれ特長が異なります。

フレームグラバーは、コンピューター上でアナログビデオ信号をデジタル変換する必要があった時代に生まれた用語です。しかし、今ではカメラセンサーで生成されたデジタル形式の画像データがそのままコンピューターに転送されることから、デジタルインターフェース(GigE、USB 3.0、Camera Link、CoaXPress)を介して取り込んだ画像データを一時保存するためのみにフレームグラバーが使用されています。フレームグラバーでは、コンピューターのプロセッサーを介することなく、データをメインメモリーに直接書き込むDirect Memory Access(DMA)という転送方法が採用されています。さらに、専用の画像処理ソフトウェア(HALCONなど)や汎用インターフェース規格(GenICamなど)を介してデータにアクセスできるものや、ビニング、スケーリングなどのデータ処理が可能なものも存在するため、比較的多くの労力とコストがかかるとはいえ、画像データを前処理する必要がある場合は、フレームグラバーを選択するとよいでしょう。

coaxpress フレームグラバーとカメラのイメージ
フレームグラバーとカメラ

一方、フレームグラバーよりもシンプルな構造をしているインターフェースカードは、カメラから受け取った画像データを前処理なしで直接メモリーに書き込みます。また、ここでもDMAが採用されているため、CPUに余計な負荷がかかりません。フレームグラバーのような前処理機能はありませんが、導入にかかるコストや労力が少ないのがインターフェースカードの大きな特長です。

機能 インターフェースカード フレームグラバー
画像データの前処理(スケーリングなど) ×
DMAによるCPU負荷の軽減
汎用ドライバー/汎用インターフェース規格(GenICamなど)への対応
画像処理ソフトウェア(HALCON)の使用
導入労力
導入コスト

まとめ

産業用画像処理において、大量データの高速・長距離転送を可能にするCoaXPress 2.0は、Camera Linkに取って代わるコンピュータービジョン向けインターフェースとして、別途インターフェースカードを用意必要があります。しかし、CPUに負荷をかけることなくデータ転送や前処理を行うなど、他のリソースをすべて画像処理に割り当てられることを考慮すると、これは決してデメリットではありません。