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用途に合ったCMOSセンサーの選び方

CCDセンサーに取って代わり、画像処理の世界で普及が進んでいるCMOSセンサー。大手センサーメーカーであるソニー社の躍進により、近年急速に技術が進歩した結果、同社のCMOSセンサーが産業用カメラに多く使用されるようになりました。この記事では、その中でもPregius、STARVIS、Pregius Sの各シリーズの違いについて解説します。

つい数年前まで、産業用カメラ向けイメージセンサーといえば、その大半がCCDセンサーでした。当時もCMOSセンサーは注目されていましたが、技術的に未熟であったため、専門家の間では、CCDセンサーの地位を脅かす存在になるまでには時間がかかると考えられていました。

しかし、2015年に事態は一変します。世界的なセンサーメーカーであるソニー社がCCDセンサーの生産終了を発表したことで、産業用画像処理をはじめとする多くの分野において、CCDの時代が幕を下ろしたのです。一方、その2年前の2013年にリリースされたソニー社製CMOSセンサーは、広いダイナミックレンジにより大きな注目を集めました。現在第4世代を数える同センサーはモデル名にIMXを冠し、短い露光時間や豊富なトリガー/読み出し方式により、同様の価格帯の競合製品を超える優れた画質を実現しています。

ソニー社製CMOSセンサーが誇る高い画質の秘密は、センサー側で取得した低ノイズのアナログ信号を画素の読み出しとともに直接デジタル信号に変換する「Exmor(エクスモア)」と呼ばれる独自技術にあり、ノイズ性能だけでなく、フレームレートにおいても他社製品との差別化が図られています。

また、ソニー社製CMOSセンサーはシャッター方式にも特長があり、電子制御により従来のカメラの絞り動作をセンサー側で行うことができます。産業用画像処理では、主に2種類のシャッター方式が採用されています。そのうち、画素を1列ずつ順番に読み出すローリングシャッターは、実際の撮影条件によって露光が遅れ、動体歪みにつながる可能性がありました。

一方、グローバルシャッターはセンサー面を一度に露光するため、交通監視の用途で車両を撮影する場合など、高速で動く物体を撮影しても歪みが発生しません。

さらに、ソニー社ではCMOSセンサーのリリース当初から、関心領域(ROI)など産業用画像処理に役立つ便利な機能を導入してきました。センサーの読み出し領域を指定すれば、撮影速度が向上するだけでなく、転送する画像サイズも抑えられるため、対象物の一部のみを検査する場合に大きな威力を発揮します。

グローバルシャッター方式のソニー社製CMOSセンサーPregius(第1世代)は、ピクセルサイズ5.68µm、画素数1920×1200を誇り、標準モデルのIMX249(41fps)と高速モデルのIMX174(166fps)があります。

この2モデルは飽和容量、SN比、ダイナミックレンジが優れているため、2.3MP程度の低解像度用途であれば、現在でも問題なく使用できます。

ピクセルサイズが小さくなった第2世代Pregius

2016年後半にリリースされたソニー社製第2世代Pregiusは、ピクセルサイズが3.45µm×3.45µmと小型化しており、画素数についても3MP(IMX252、IMX265)、5MP(IMX250、IMX264)、9MP(IMX255、IMX267)、12MP(IMX253、IMX304)の4種類が選べるようになりました。また、グローバルシャッターとExmorによる優れた画質も健在で、フレームレートは標準モデル(IMX265、IMX264、IMX267、IMX304)が23~56fps、高速モデル(IMX252、IMX250、IMX255、IMX253)が68~216fpsに対応しています。

このほか、飽和容量も第1世代から大幅に改善しました。他社にも同様の飽和容量を有する製品がありますが、ソニー社製品は同じセンサーサイズで3倍の画素数を実現するなど、性能面でより優れているといえます。

裏面照射型CMOSセンサーSTARVIS

ソニー社製STARVISは、監視カメラ向けのカラーセンサーに使用されていた技術をモノクロセンサーにも導入し、ピクセルサイズ1.85µm~3.76µmを実現するなど、その優れた性能によりファクトリーオートメーション分野を中心に普及が進み、その名を世に知らしめました。なお、このシリーズはPregiusと同時に開発されたもので、当初はローリングシャッターのみの対応でしたが、その後グローバルシャッターモデルも登場しています。

STARVISとPregius(第1世代、第2世代)の大きな違いは、STARVISがローリングシャッター方式の裏面照射型センサーであるという点です。STARVISはピクセルサイズが非常に小さいため、特に1.85µmのモデルの場合、増幅装置やA/Dコンバーターなどの電子部品がセンサーの受光面を覆ってしまい、量子効率が低下するおそれがありました。しかし、ソニー社独自の高度な裏面照射技術により、これらの問題は見事に解決されています。

従来の表面照射型センサーとは異なり、裏面照射型センサーでは電子部品を裏面に配置し、表面を受光素子のみとすることで、電子部品による光反射を防止しながら、受光面全体で光電変換が行えるようにしています。しかも、裏面照射型センサーは表面照射型センサーより受光効率が高いため、撮像性能も改善しています。

表面照射型センサーと裏面照射型センサーの比較

受光面に配線層がある表面照射型センサー(左)は、光が電子部品を通過し、受光素子に到達するまでに反射してしまうおそれがありました。一方、裏面照射型センサー(右)では、配線層が受光素子の下側に配置されています。
受光面に配線層がある表面照射型センサー(左)は、光が電子部品を通過し、受光素子に到達するまでに反射してしまうおそれがありました。一方、裏面照射型センサー(右)では、配線層が受光素子の下側に配置されています。

ノイズの影響を受けずに信号を生成するために必要な平均光量(光子量)を示す値として、EMVA1288が定める「絶対感度」があります。第1世代Pregiusの絶対感度が10であるのに対し、第2世代Pregiusは3、STARVISは4となっており、この値を比較することでも性能の違いがわかります。

最新の第4世代CMOSセンサーPregius S

2020年にソニー社がリリースした第4世代CMOSセンサーPregius Sは、ピクセルサイズ2.74µm×2.74µm、画素数5.1~24.5MPに対応し、フレームレートは標準モデル(IMX540、IMX541、IMX542、IMX545、IMX546、IMX547)が35~122fps(毎秒870MP)、高速モデル(IMX530、IMX531、IMX532、IMX535、IMX536、IMX537)が106~259fps(毎秒2600MP)となるなど、超高速で動く物体の検査が可能になりました。

また、Pregius Sでは、STARVISの裏面照射技術や第1世代・第2世代Pregiusのグローバルシャッター、さらにはExmorによるノイズ除去も引き続き採用されています。

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用途別のおすすめセンサー

CMOSセンサーの選定では、実際の性能要件を考慮する必要がありますが、特に動体撮影においては、高速・高精度なトリガーが重要になります。トリガーから読み出しまでの時間を比べた場合、STARVISが約450マイクロ秒であるのに対し、Pregiusは約20マイクロ秒となっており、トリガー性能はPregiusのほうが優れています。そのため、高速で動く物体(ボトル、プリント基板など)の検査やスポーツの動作分析をはじめ、トリガー精度による画質の確保が求められる用途では、Pregiusを選ぶとよいでしょう。また、3Dビジョンシステムやマルチカメラシステムにおいても、高速・高精度のトリガーに対応したPregiusがおすすめです。

最近ではCCDセンサーからCMOSセンサーへの移行を検討する企業も多いですが、コスト面を考慮した場合、既存の照明や光学機器を可能な限り流用できるCMOSセンサーを選択するのが賢いといえます。STARVISと比べると、Pregiusのほうが従来のCCDセンサーに近い形式を採用しているため、より移行に適しています。例えば、PregiusのIMX264とIMX250は5MPに対応しており、これまで広く使われてきたCCDセンサーであるICX625の代替品として最適です。一方、ICX824を使用している場合は、8.9MP 対応のIMX267やIMX255を選択することで、光学機器に大きな変更を加えることなく、簡単にシステムを刷新できます。

Pregiusに対し、STARVISは価格が安いのが大きな特長です。静体撮影のみに使用する場合は、ローリングシャッター形式のSTARVISで十分でしょう。ただし、いずれのセンサーもピクセルサイズが非常に小さいため、レンズを選定する際には、画素数やセンサーサイズに注意する必要があります。

最新トレンド

技術の進歩により、最近のセンサーには多機能化の動向が見られるようになりました。例えば、第2世代Pregiusには、1回のトリガーのみで露光時間の異なる画像を連続撮影するマルチトリガー機能が搭載されており、撮影後に最適な明るさの画像を選別することができます。

このようなトリガー機能は次世代のセンサーにも存在しており、例えば第3世代Pregiusで初登場した革新的な機能にセルフトリガーとデュアルトリガーがあります。そのうち、セルフトリガーは、2か所の関心領域(ROI)を設定し、一方の領域に変化があった場合に他方の領域の画像を自動的に撮影する機能です。一方、デュアルトリガーでは、露光時間とゲインを2種類設定し、個別に制御することができます。なお、この2つの機能は第4世代であるPregius Sの全モデルにも搭載されています。

以上のように、世代間で機能を受け継ぎ、進化させていることも、ソニー社製CMOSセンサーの大きな特長です。

このほか、センサー関連の注目すべき動向として、生産工程におけるピクセルの微細化と、それに伴う小型化・高画素化が挙げられます。センサー自体が小さくなった結果、カメラの小型化も進みました。また、画素数が増えれば、カメラの台数を減らせるため、システム全体のコストパフォーマンス向上にもつながります。高価な1インチレンズと組み合わせる必要があったPregiusに対し、よりコンパクト、高性能かつ低価格なレンズにも対応可能なPregius Sは、今や多くのカメラで採用されるようになりました。

まとめ

世界的なセンサーメーカーであるソニー社がCMOSセンサーの開発に注力したことで、CCDセンサーの時代は終わりを告げました。Pregius(第1世代~第3世代)、STARVIS、Pregius S(第4世代)の各モデルは、いずれも優れた画質・速度・機能を誇り、産業用画像処理に幅広く活用されています。今後も順調に開発が進めば、次世代のセンサーにおいてこれまでにない技術革新が起こることでしょう。

Baslerでは、ソニー社製CMOSセンサーを搭載したカメラを多数取り揃えています。ぜひお気軽にお問い合わせ ください。